星屑ドルチェ【2】

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＿


「ん!おいしい!」


「よかった。…この子の名前なんだけどさ」


「うん」


「星屑ドルチェってどうかな」


「…!いい、すごく」


「Aちゃんならそう言ってくれると思った」


「店頭に並ぶの楽しみだなあ」


「頑張って勝ち取って」


「…無理だった時はお菓子教室開校して作り方教えてください」


「はいはい。もうひとくち食べる?」


「食べる」


「はい、あーんして」


「あー…あ、?」


「…んー、うまっ!」


「私の、星屑ドルチェが…」


「俺のだもん」


「返せっ」


「もう食べちゃった」


「えー!」


「そんな顔しなくてもまだここに残っ…」




悔しくて、彼の言葉を食べてやった。




「…」


「…まだお店だよ」


「…知ってます」


「じゃあなんでそんなかわいいことするの?」


「星屑ドルチェを奪い返そうと思って、」


「そんなに俺とキスしたかったんだ」


「ち、ちがっ、!」


「帰ったらいっぱいしてあげるから…上で待ってて」


「…っ」


「今日は眠れない夜になりそうだね?」




さらに糖度を増した空気は甘ったるくて胸やけしてしまいそう。


だけど私にはこれくらいが丁度いい。




「…それ持ってくの?」


「私のなので」


「ふはっ、そっか」


「…上で、待ってます」


「俺を?それともキスを?」


「…。両方です」




彼が何かを発する前に急いで階段をかけ上がる。


こんな甘ったるい日々がこの先もずっと続きますように。


食べかけの星屑ドルチェに願いを込めて。





｢…あれ?｣

｢ただいまー｣

｢あ、おかえりなさい｣

｢どうしたの?そんなとこに突っ立って｣

｢耀お姉ちゃんの、指輪の箱がなくなってて…｣

｢少し前に売った｣

｢え、｣

｢もう必要ないかなって｣

｢…ほんとによかったんですか?｣

｢うん｣

｢…それなら、いいんですけど｣

｢その時がきたらAちゃんの買ってあげるからね｣

｢…!｣


Fin

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