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乾いた笑いに察してしまう。
勘違いかもしれない。
だけど、沈んでしまった彼の気持ちが少しでも軽量化できるなら…。
「あの、すいません。5分だけ2人にしてもらうことってできますか?無理だったらいいんですけど…」
「Aちゃん…?」
「構いませんよ」
マスターは優しく微笑んで、ごみ捨てをして戻ってきますと裏へ消えた。
「…どうしたの?」
椅子から降りて彼の前に立つ。
ぽかんとした彼を震える手で抱きしめた。
「…!Aちゃ、」
「誰も見てません」
「…」
「宮舘さんは私に、誰かを想って泣けることは素敵なことだと教えてくれました」
そう伝えると背中に彼の右腕がまわってきて、少し自分の方へと引き寄せた。
されるがままに1歩前に進んでさらに彼との距離を縮める。
「女々しいなんて思わないんじゃないでしょうか。ずっと忘れないでいてくれて、想い続けてくれて…ありがとうって今でも宮舘さんのそばにいると思います」
「っ、」
じわじわと肩口が濡れていくのを感じる。
彼が落とした小さな滴たちも、肩にある重みや温もりも、彼女の代わりなんておこがましいことは言わない。
だけど今だけは、どうか私に守らせて。
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涼-suzu-(プロフ) - さくらさん» はじめまして。コメントありがとうございます。切ない中にキュンを詰め込めました!幸せと言っていただけて私も幸せです。こちらこそ読んでくださってありがとうございました☺︎︎︎︎ (2022年10月9日 21時) (レス) id: ece158555b (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 初めてコメントします!もぉどぉしましょ。もぉなんなんですか、キュンが止まらない。切ないお話だと思ってたのに、ニヤけてたまりませんでした笑あぁなんだか幸せ…ありがとうございました。 (2022年10月9日 13時) (レス) @page45 id: 5eab3e319d (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - マコトさん» わ!ありがとうございます!笑 好きなとこ教えていただけるの嬉しいのでニヤニヤしちゃいました。こちらこそ読んでいただいて本当にありがとうございます。 (2022年8月21日 8時) (レス) @page45 id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - 「ソファーを背もたれにラグの上で胡座をかいた」……この表現、めっちゃ好きです(笑) 沢山のキュンをありがとうございましたヽ(=´▽`=)ノ (2022年8月20日 23時) (レス) @page41 id: aab53d41f5 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 淘蒼toaさん» ありがとうございます。86個目の心臓おめでとうございます(?)めぐろくんは漢にしがちです。涼です。これからもよろしくお願いします。私も大好きです。 (2022年8月20日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2022年8月14日 10時