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「んん…?」
目が覚めるとまだ左手にあたたかい温もり。
ベッドの淵に頭を預けてすやすやと眠る蓮がいた。
ずっと、手握っててくれたんだ。
薬のおかげもあってほんの少し体が軽く感じて、寝ている彼を尻目にさっきの出来事を頭の中で回想する。
…彼氏でもない、しかも年下の人に甘えてしまった。
いや、彼氏といえば彼氏なんだけど…厳密に言うと違うわけで。
冷静になった途端に恥ずかしくなって頭まで布団を被った。
「…甘えるとか、柄じゃないのに」
小さく呟いて、あーとかうーとか唸っていたらシーツが擦れる音がして彼が起きたことをお知らせ。
「Aさん…?」
布団の外から微かに聞こえた蓮の声にゆっくりと布団を下げて目を出した。
「…おはようございます」
「おはようございます。俺も寝ちゃってました」
「傍にいてくれて、ありがと」
「いーえ」
「…」
「…離します?」
「え、」
「手、離します?」
「…なんで、聞くの?」
「Aさんはどうしたいのかなって」
繋いだ手を少しだけ上にあげて私に見せつけるようにゆらゆらと揺らす。
「…」
なぜか心の中の自分が離したくないと言っている。
でもそれをさっきのように素直に口に出せないのは年上のプライドか。
はたまた、彼は本当の彼氏ではなく友達だという事実がそうさせているのか。
「俺はもうちょいこのままでいたいですけど」
私の気持ちを汲み取ったように蓮はそう呟いた。
「…じゃあ、このままで」
素直じゃない私はどうにかポーカーフェイスを貫いた。
無意識に強く彼の手を握りなおしていることには気づかずに。
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涼-suzu-(プロフ) - 橋ちゃんさん» いつもありがとうございます。やっぱりめぐろくんはヒーロー的な感じになっちゃいます。違うテイストも描きたいんですけど気づいたらこうなっとるんですわ。笑 ティラーノくんも楽しみにしててください♪ (2022年6月30日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 実際のカレカノになれて良かったですね。なれてから、実際にお母さんに会ってからのストーリーも読んでみたいです。 (2022年6月30日 20時) (レス) @page43 id: cefd7f5dc8 (このIDを非表示/違反報告)
橋ちゃん - 涼さん完結おめでとうございます🎊さすがはREN MEGUROですね笑きゅんきゅんでした💖お次は最年少君ですね!🦖くんも楽しみです😊毎回素敵な小説をありがとうございます🙇♀️⤵️今回も最高でした🖤 (2022年6月30日 18時) (レス) @page43 id: 0784958bbf (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 柚姫さん» たくさんコメントありがとうございます!めぐろくんのお話を書く時はちょい切なめになりがちな私です!笑 そういうお話が…似合っちゃうから甘々に書きたいと思ってはいます…。(書けるかどうかはさておき) (2022年6月30日 16時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
柚姫(プロフ) - 切ないですね。🖤さんも主さんもどちらも切ないすれ違いです。どうしたらいいのか、悩みながら泣いてしまいました。この表現、すごく好きです。 (2022年6月29日 16時) (レス) @page38 id: 31ed921faf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2022年6月23日 13時