戻れないから

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目が覚めるとベッドの上で、隣には翔太が背中を向けて眠っている。

学生の頃よりうんと逞しくなったその背中に、なんとなくぴったりとくっついてみた。

こんなことするようなタイプじゃないけど…甘えたいモードが継続しているのだろうか。

自分でもよくわからない。

冷静になったらちょっと恥ずかしくなって翔太から離れて起き上がろうとするけどそれは叶わなかった。


「…おはよ」

「っ、おは、よ」


すっぽりと収まった翔太の腕の中。

どうすればいいのかわからなくて固まっていると再び聞こえてくる寝息。


「翔太」


呼んでも返事はなくて二度寝したことを確信した。

まあいっか。

私も二度寝しちゃお。

翔太に擦り寄って一緒に夢の中へ入っていった。


次に起きたのは12時過ぎで目を開けたらすでに起きていた翔太と目が合った。


「2回目のおはようだな」

「…おはよ」

「なんで顔隠すんだよ」

「寝起きブサイクだから」

「安心しろ寝起きじゃなくてもブサイクだ」

「…言ったなこのやろう」


布団に潜って翔太の脇腹を擽り攻撃。

苦しそうに笑うけど止めてやんない。


「ほら、参ったって言え」

「参った!降参!まじでギブ!すいませんでした!」

「よかろう」

「あー…死ぬかと思った。ごめんって、冗談だろ?」

「…悪かったなブサイクで」

「だから嘘だって。ちゃんと顔見せて」

「無理」

「俺も無理」


そう言って布団の中に潜ってきた翔太と目が合った。


「んふふ」

「なに」

「拗ねてんの?」

「は、拗ねてないし」

「かわいいなお前」


頭を両手でわしゃわしゃとかき乱されるから手首を握って動きを封じた。

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