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『もしもし』
「…A、です」
『よかったー。電話くれないかと思ってた』
電話越しに伝わるほっとしたような声。
『薬は?飲んだ?』
「今から、ゼリー食べて薬飲み、ます」
『うん。そうして』
「…ありがとう。あと、ごめん、なさい」
『ふふ。なんで謝るの?移ったらAに看病してもらうから大丈夫だよ?』
「…それは、看護師の彼女に、してもらいなよ」
『看護師の彼女…?』
「あの時、の」
『あの時…』
阿部先生は何のことか分かっていないのか考えている。
『あー、あれかぁ』
「あれかぁ…って」
私にとっては現実を突きつけられたつらい出来事だったんだけど。
『たしかに彼女だった、よ』
「だっ、た?」
『もう普通にただの友達。お互い吹っ切れてるし。あの日は偶然会ったんだよ。だからまあ近況報告ついでにランチでもってあの店に行ったの』
「…そう」
『安心した?』
「いやっ、別にそんなんじゃっ」
私の恋心…遊ばれてる気がする。
「もう電話切る」
『あれ?もう切っちゃうの?』
いや遊ばれてる。
確信した。
「あのさぁ…」
『うそうそ。ごめんって。早く治るといいね』
「…どーも」
『うーわ。怒ってるぅ』
「怒ってない。…じゃあね」
『あー、待って』
「…なに」
『困ったことあったらまた連絡していいから』
「…」
『それだけ。じゃあ、またね』
「…うん」
通話終了をタップしてスマホを背後のソファーに投げた。
「…またね、か」
さっきまで一緒にいたのに、声聞いたらもう会いたくなっちゃった。
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涼-suzu-(プロフ) - shoさん» こちらこそこの作品を見つけてくださってありがとうございます(՞ ܸ. .ܸ՞)"キュンをお届けできてよかったです。 (2023年2月25日 14時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
sho(プロフ) - すごく引き込まれて一気に読みました。キュンキュンが最後までとまりませんでした。この作品を読めた事に感謝です。 (2023年2月25日 13時) (レス) @page50 id: 342ef15a76 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - mireさん» コメントありがとうございます!このセリフを絶対入れたいと思っていて書きながらここだ…!って自然に入れられたのでそう言っていただけて嬉しいです♪ (2021年12月5日 17時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
mire(プロフ) - 最高でした。阿部ちゃんの「ううん、からかってない」がもうMVが走馬灯のように頭に流れてキュンが止まらなかったです。これからも作品楽しみにしてます。 (2021年12月3日 15時) (レス) @page45 id: e802057471 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ユカさん» コメントありがとうございます!書いてる私も胸が苦しかったです(笑)もちろんニヤニヤもしました☆(やめろ)阿部先生に恋したくなったらまたいつでもここに来てください。 (2021年11月3日 6時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年10月20日 7時