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「あべせんせ」
「ん?どした?」
声をかけるとエメを撫でていた手を止め、私に体を向ける。
「きてくれて、ありがと」
「それはエメちゃんが呼びに来てくれたから。エメちゃんに感謝しなきゃ」
「エメ」
力なく呼べばベッドにあがってくるエメ。
「ありがと」
私の頬にチョンッと鼻をつけてベッドから降りるとどこかへ行ってしまった。
「…なに?」
エメの後ろ姿をずっと見ていると視線を感じて阿部先生を見る。
すると私の手を取り、自分の頬にピッタリとくっつけた。
「…阿部先生、なんだなーって」
「…ん?」
「こないだの呼び方の方が好きなんだけど」
___じゃあね。…亮平先生。
「なんか、へんなよびかた、したっけ?」
「ふはっ。変な呼び方って」
そう言いながら阿部先生はしばらく私の手を頬にくっつけたままだった。
「なんか食べれそう?残念ながら料理は作れないから、ゼリーとかになっちゃうけど…」
「…いらない」
「でもなんか食べないと薬飲めないよ?」
「もうちょっと」
力なく阿部先生の頬を撫でると目を細めた。
なんかエメみたい。
「ふふ、くすぐったい」
「はだ、すべすべだね」
「そう?まあAの若い肌には負けるけど」
ずっと、この時間が続けばいいのに。
しばらくすれば先生はきっと彼女が待つ家に帰ってしまう。
私のそばにいてほしい。
「…りょーへ、せんせ」
大きな目を更に大きくして私を見る。
「…なに?」
「きす、して」
熱に浮かされてとんでもないことを言ってしまった。
何も言わず、なんとも言えない表情をした阿部先生を見て我に返る。
「…ごめん。なんでも、ない」
「もう少し寝る?」
「…ねるまで、そばにいてくれる?」
「もちろん」
「じゃあ、もうすこし…ねよう、かな」
ゆっくりと目を閉じるとおやすみと言う声と共に手の甲に柔らかい感触を感じながら眠りについた。
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涼-suzu-(プロフ) - shoさん» こちらこそこの作品を見つけてくださってありがとうございます(՞ ܸ. .ܸ՞)"キュンをお届けできてよかったです。 (2023年2月25日 14時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
sho(プロフ) - すごく引き込まれて一気に読みました。キュンキュンが最後までとまりませんでした。この作品を読めた事に感謝です。 (2023年2月25日 13時) (レス) @page50 id: 342ef15a76 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - mireさん» コメントありがとうございます!このセリフを絶対入れたいと思っていて書きながらここだ…!って自然に入れられたのでそう言っていただけて嬉しいです♪ (2021年12月5日 17時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
mire(プロフ) - 最高でした。阿部ちゃんの「ううん、からかってない」がもうMVが走馬灯のように頭に流れてキュンが止まらなかったです。これからも作品楽しみにしてます。 (2021年12月3日 15時) (レス) @page45 id: e802057471 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ユカさん» コメントありがとうございます!書いてる私も胸が苦しかったです(笑)もちろんニヤニヤもしました☆(やめろ)阿部先生に恋したくなったらまたいつでもここに来てください。 (2021年11月3日 6時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年10月20日 7時