40 ページ40
_
空いているベンチに2人で並んで座ってその風景を眺める。
「ここでAにプロポーズしたんだよ」
「!」
「付き合ってる時はね、月に1回バラの花をあげてたんだ。なんでかわかる?」
「…涼太があげたかった、から?」
「それももちろんあるんだけど…」
「けど?」
「初めてあげたバラが枯れた時にすっごく悲しそうな顔してて、次の月にまたあげたら喜んでたんだよ。それで毎月あげるって決めた」
「そうなんだ…。ありがとう」
彼はこんなに素敵なことをたくさんしてくれてるのに…何ひとつ覚えてないなんて。
なんか悲しくなってきた。
「A…?どうしたの、大丈夫?」
「うん、大丈夫。ごめん」
耐えきれずに零れた一粒の涙を拭おうとしたら手を止められた。
「それで誤魔化せると思ってる?」
「…!」
「何年一緒にいると思ってんの」
「りょう、」
「ほら話して?」
楽しそうに遊ぶ子どもたちの声を聞きながら、止まらなくなった涙。
涼太が優しく拭ってくれた。
「なんで、涼太のことだけ、忘れたのかなって」
「…うん」
「思い出したいのに、全然なんにもわかんなくて、もうやだ…」
涼太は何も言わずに私の背中を摩ってくれる。
「ごめん。涼太の方がつらいのに泣いちゃって」
「…言ったでしょ。俺はAがこうして隣にいてくれたら幸せだって」
「…」
「それから、俺たちの宝物の花鈴もいるじゃん」
「…っ、うん」
「花鈴が俺たちをしっかり繋ぎ止めてくれてるんだなって俺は思ってる」
「私も、そう思う」
花鈴がいてくれるから記憶を失くしたって彼と一緒にいられるって思ってる。
「思い出せなくてもこれからまた思い出つくってけばいいって。ね?」
「うんっ、ありがと、」
「よし、花鈴が心配しちゃうから、泣き止んで花鈴迎えに行こ?保育園で待ってるよ」
できるだけ笑顔で返事をして再び涼太と車に乗り、保育園へ向かった。
1600人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼-suzu-(プロフ) - 橋ちゃんさん» コメントありがとうございます。私の文才なんてまだまだですがそう言っていただけてとても光栄です!もちろん反映されなかったお星様は我が家に届きましたので保管しておきますね!笑 次もよろしくお願いします︎︎︎︎︎☺︎ (2022年5月27日 21時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
橋ちゃん - 涼-suzuさん完結おめでとうございます🎊今回も素敵な作品でした!涼-suzuさんの作品は全部神作品ですね!文才能力が素晴らしいと言うかなんと言うかとにかく最高です!今回もお星さま沢山押させていただきました!次も楽しみにしてます😊 (2022年5月27日 18時) (レス) id: 0784958bbf (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 柚姫さん» いつもコメントありがとうございます。紳士なみやだてくんに最後まで癒されてくださいませ!最後までよろしくお願いします♪ (2022年5月27日 12時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
柚姫(プロフ) - じっくり読ませていただきました。色々気になりつつ、❤さんの紳士ぶりに癒されつつ、、、。どんな展開が続くのか今から楽しみです。涼様、素敵なトキメキをありがとうございます (2022年5月27日 7時) (レス) @page41 id: 31ed921faf (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みんみんさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉…歓喜です…。わたなべくんのツンデレは子どもさえも虜にしてしまうようですね。笑 最後までどうぞお付き合いよろしくお願いします♪ (2022年5月26日 6時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:涼-suzu- | 作成日時:2022年5月20日 15時