34 ページ34
＿
私が手を握ろうとすれば嫌がって佐久間先生に抱きつく晴希。
こんなに駄々をこねるのは初めてだから戸惑うしどうしたらいいのかわからない。
悩んでいると佐久間先生が、俺さぁ…と話し始めた。
「Aちゃんが作った唐揚げ食べたいなぁ」
「…!」
「晴希くんも食べたくない?おかしゃんの唐揚げ」
「たべたい!」
「じゃあおかしゃんに2人でお願いしてみよっか?」
佐久間先生は晴希の隣にしゃがみこんで私を見上げる。
そしてせーのと声を合わせて唐揚げ食べたいです!なんて2人に可愛く言われてしまった。
「じ、じゃあ…今日の夜は、唐揚げ…で…」
目の前で喜ぶ2人に、部屋散らかりっぱなしじゃないよねなんて考えながら3人でスーパーへ向かうことにした。
「おかしゃんおてて!」
「はーい」
いつものように晴希と手を繋いだけれどいつもと違うのは、反対側に佐久間先生がいるから。
「…なんか、親子みたいだね俺ら」
佐久間先生の言葉に苦しくなる胸の奥。
今日1日過ごして、ずっと心の片隅で思ってたことだから。
「おやこ」
なんて返そうか迷っていたら真ん中にいる晴希が嬉しそうに私を見た。
「おかしゃんと、はるくんと」
その視線は自分の足元に落として、佐久間先生へと移る。
「おとしゃん」
「…!」
晴希が言ったその単語に胸の苦しみが強くなった。
晴希は…お父さんほしいって思ってるのかな。
…多分思ってるよね。
今日佐久間先生にいっぱい遊んでもらって、肩車とか高い高いとかしてもらってたし。
私じゃしてあげられないことを佐久間先生にしてもらえて…晴希嬉しそうだった。
「晴希くん、」
「ねえ晴希」
私は何か言おうとしている佐久間先生を遮って晴希に話しかけた。
「なぁに?」
「3人でスーパーまで競走しよっか」
「する!」
「んじゃいくよー?よーい…どんっ!」
私はどうしたらいいんだろうな…この子の母親として。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2034人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼-suzu-(プロフ) - こはくさん» ありがとうございます。私も書いててうちの子(？)きゃわ〜！となりました。笑 (12月9日 6時) (
レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
こはく(プロフ) - とても面白かったです！！さっくんにもはるくんにもキュンキュンしちゃいました〜♡ (12月8日 19時) (レス) @page44 id: c3c85275fa (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - むむさん» コメントありがとうございます！私のさくまくん(とは)から是非元気もらってくださいませ！推しがマイナーで笑いました！笑 少しの登場でしたがパパも喜ぶと思います！笑 (2022年5月21日 14時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
むむ - きゅんきゅんしちゃいました、、、！とっても素敵な作品ですね。なんだか作者様の書かれるさくまくんに元気づけられるような気もします。ちなみにこの作品でのわたしの推しは主人公ちゃんのパパです、、！（笑） (2022年5月21日 9時) (レス) @page27 id: e8dca0b64d (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 淘蒼toaさん» ありがとうございます！さくまくんのキュンを届けられてよかったです。アフターストーリー…頑張るので楽しみにしていてください(自分でハードル上げる) (2022年5月20日 23時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2022年5月9日 15時
