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今までの学校生活が嘘のように楽しく充実した毎日を送れている。
休みの日だって遊びに行くようになった。
だけど変わったのはそこだけじゃない。
「これは何が育つん?」
「…パンジーだよ」
「おお!聞いたことあるわ!」
放課後、いつものガーデニングスペースでしゃがんで苗を植える私。
その隣にしゃがみこむ向井くん。
私の学校生活をキラキラしたものに変えてくれた人。
好きにならないはずがなかった。
恋愛なんてしたことなくて、でも他の人とは違う感情を持ち始めた時はこの気持ちがなんなのかイマイチわからなかった。
だから真野さんと水城さんに相談したら恋だねなんて言われてしまったわけ。
そして自分が恋してるということに気づけば意識しまくりで…私、今まで向井くんとどう接してたっけ?
「立派に育ってや〜」
向井くんは私が苗を植えた場所に優しく声をかける。
人だけじゃなくて植物にも優しいなんて…モテないはずがない。
向井くんが転校してきてもうすぐ1ヶ月。
転校初日からあの人気なんだもん。
私のクラスにも他のクラスにも私と同じような気持ちの人なんてたくさんいるかもしれない。
もしかしたら私が知らないだけでもう誰かと結ばれてるかもしれない。
考えたって答えは出ないのにエンドレスに考えてしまう。
「……もしもし?おーい、はるるー?」
「え!あ!ごめん!あ…」
同じ場所にずっと水をあげていたみたいでちょっと水溜まり状態。
…ちゃんと咲くか心配だな。
「ボーッとしてどないした?」
「…いや?」
「悩みでもあるん?最近ボーッとしてるとこよく見かけるからちょっと心配やってんけど」
「だ、大丈夫」
「俺には話せへん?」
うるうるとした子犬のような目で私の顔を覗き込む。
…か、かわいい。
「あの…ね」
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年10月4日 6時