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「なんやねんあいつ」
「康二くん…?」
「あ、ごめん。こっちの話やねん。気にせんといて」
写真を撮り終わってからなぜか拗ねてる康二くん。
理由は、教えてくれない。
ふと、康二くんが突然足を止めた。
「これ行こうや」
イタズラな笑顔で康二くんが指さした場所は、お化け屋敷。
「大丈夫?」
「…こわい」
ホラーは全くダメな私。
でも康二くんにお願いされたら断れなかった。
早く、出たい。
「んひっ…!」
急に音が鳴って無意識に康二くんの腕にしがみつく。
「ごめっ」
「ん、俺が守ったる」
暗闇の中、康二くんの手が私の手を握る。
大きくて温かい手にちょっぴり怖さが軽減。
だけど心拍数は上がった気がする。
「怖かったら腕捕まっててええから」
「ありがと」
本当に高校生が作ったクオリティなのか?っていうくらい私には怖かったけれど、康二くんは楽しそうだった。
康二くんこういうの平気なのかな。
「きゃっ!」
不意に顔にヌルッとしたものが当たって思わず康二くんに抱きつく。
「大丈夫?」
「顔に、なんか…」
そこまで言って顔を上げると暗闇でも分かる、康二くんとの距離。
「…っ」
握ってない方の手でさらりと頬を撫でられる。
「ほんま、なんか湿ってるわ」
距離はそのままに話す康二くん。
どうしよう、心臓の音聞こえちゃうかも。
そう思っているとだんだん近づく康二くんの顔。
え、なに、なにこれ?
ガシャーン!
「ふあっ…!?」
突然何かが落ちた音にびっくりして康二くんの胸に顔を埋める。
「康二くん、はやく出よ」
「…」
「…康二くん?」
「え、あ、うん。はよ出よな」
康二くんは私から目を逸らして逃げるようにスタスタと歩き出す。
だけど、出口に着くまではずっとこの手を離さないでいてくれた。
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年10月4日 6時