・ ページ41
＿
「蓮くんには同情できない」
「どうしてですか」
「こんなまっすぐに純粋な気持ちを伝えてくれる人に同情なんてバチ当たっちゃう。私なんかは…ちょっと歪んだ愛くらいがいいの、きっと」
「そんなこというAさん嫌いです」
「…！」
「俺の大好きな人を、私なんかなんて言わないでください」
「蓮くん…」
「今のAさん嫌いです。嫌いですけど…めちゃくちゃ好きなんです…」
「…ありがとう。優しいね、蓮くんは」
「優しさで言ってるわけじゃないんです。本心なんです。…どうしたら伝わりますか？」
本当は痛いほど伝わってる。
受け取るのが、怖いだけ。
こんなにまっすぐ私を愛してくれる人と一緒にいることを選んだとして、神様は許してくれるのだろうか。
許してもらえなかったとして、蓮くんに何かがあったらどうしよう。
そんなことを考えながら蓮くんをボーッと見ていたら再び強く抱きしめられた。
「わっ、蓮くん…？」
耳元で小さく鼻をすする音がして蓮くんが泣いてるんだと分かった。
「…今は、伝わんなくてもいいです。まだ伝えるチャンス、あるんで」
怒ったり泣いたり、今日の蓮くんは感情が忙しいなぁ。
ゆっくりと蓮くんの後頭部に手を乗せて優しく撫でれば本格的に泣き始めてしまった。
クールで強いと思ってた彼も子供みたいに泣くことがあるんだ。
「ほんとによかった。Aさんが、生きててっ」
しかも私なんかのために涙を流してくれるなんて。
って言ったら、私なんかって言わないでください！ってまた怒られちゃうかな？
「…心配かけてごめんね。もう大丈夫だから」
「俺、Aさんがいない世界とか、絶対にやだっ…。生きられないよっ」
「…うん」
「絶対、守りたくて、」
「ありがとね、蓮くん」
服を着るのはしばらく諦めよう。
今は、目の前で泣いている彼をただ抱きしめることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 586人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼-suzu-(プロフ) - 柚姫さん» ありがとうございます！その後の2人がどうなったのか…ご想像にお任せします🖤笑 こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました。幸せと言っていただけて私も幸せです。 (2022年2月25日 16時) (
レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
柚姫(プロフ) - 完結からのAfterstory、お疲れ様でした。🖤くんの気持ち、相手の事情や気持ちが見えて、2人の幸せを見届けられる素敵なお話でした。ありがとうございました。いずれ🖤くんの組長姿も？と思いながら楽しみました。本当に素敵なお話を読めて幸せでした。 (2022年2月25日 2時) (レス) id: 31ed921faf (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 柚姫さん» ありがとうございます。感動していただけたなんて嬉しいです(；；)こちらこそこれからも応援よろしくお願いします！ (2022年2月24日 18時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
柚姫(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。めちゃくちゃ素敵なお話で、感動してしまいました。🖤さんもまっすぐですが、💜さんのかっこよさにきゅんきゅんしました。完結ありがとうございます。これからも応援しております。 (2022年2月24日 7時) (レス) @page43 id: 31ed921faf (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - Cancakeさん» コメントありがとうございます。男前でまっすぐなれんきゅん(とは)を書きたかったので伝わっててよかったです。こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年2月24日 7時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2022年2月16日 23時
