その距離わずか、3cm【2】

Scene18 ページ8

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涼太が帰って、渡辺くんと2人になる。

…なんだろうこの空気。

気まずい。


「渡辺、くん…あの、なぜ、ここに？」

「…あー、えっと」

「…あがります、家？」


目をぱちぱちさせる渡辺くんを見て片付けてたかなぁなんて考えながら階段を登る。


「…あれ、」


渡辺くんは階段の下で固まったまま。


「渡辺くん？」

「あ、行く、うん、行きます」


渡辺くんを家にあげてソファーに座ってもらう。


「コーヒー飲みますか？」

「…うん」


渡辺くんと自分のコーヒーを用意して私もソファーに座った。

コーヒーを冷ましていると渡辺くんが口を開いた。


「幼馴染なの、あいつ」

「え！？」

「幼稚園から中学まで一緒」

「…そんなこと、」

「…あるんだよなぁーこれが」


渡辺くんはソファーの背もたれに頭を預けて天井を見上げた。


「…涼太と付き合ってたんだな」

「大学の頃ですけど。…涼太がフランスに就職するのをきっかけに別れました」

「…涼太、ね」

「渡辺くん？」

「…罰ゲームな」

「え！？」

「敬語、使ったら罰ゲームだろ？さっきからずっと敬語じゃん」

「急に！？ていうかそ、それは昨日の話でっ…！」

「俺、終わりとか言ってないよ」

「…なんですか、罰ゲーム」

「渡辺くんって呼ぶのやめてよ」

「…！なんて、呼べば、」

「翔太」

「無理です」

「即答！なんで！？涼太のことは涼太じゃん！」

「涼太は、付き合ってから呼び始めて…」

「じゃあ俺が彼氏になったら翔太って呼んでくれんの？」


そう言って私を見つめる渡辺くんはすごく真剣な顔をしていた。

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