その距離わずか、3cm

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2人でスマホを見つめる。

その間にもすぎていく時間。


「返事、しないの？」

「…なんて返せばいいか分かんなくて」

「それは、どうして？」


ただひとこと、大丈夫とか、お願いしますとか返すだけなのにどっちとも言えないのは、違和感を感じるから。

送って帰るなんてどうしても今の彼が言い出すとは思えない。


「自分でも、よく分かんない」


美紅にそう伝えてモヤモヤしていたら結局、何も返事することができず玄関の鍵が開く音がした。


「ただいま」

「あ、ひーくん…おかえり」

「優羽は？」

「もう寝ちゃった」

「そっか」


岩本くんの視線は美紅から私に移る。


「…外に、翔太いるよ」


大丈夫なので帰ってもらってください。

なんて言えるわけもなく。

私の中には送ってもらうしか選択肢がなかった。


「A、」

「大丈夫。そんな心配そうな顔しないで」

「…うん」

「また遊びに来るね」

「あ、帰りついたら連絡してね！」

「美紅、なんか彼氏みたい」

「私はずっとAの彼氏だよっ！」

「ふふ、ありがとう。じゃあまた。…おやすみなさい」

「おやすみ。気をつけて帰ってね」

「ありがとう」


心配そうな美紅と岩本くんに見送られて岩本家を後にした。

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