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「さっきは学校だなんだって恥ずかしがってたくせに…。ほんと、可愛い」
初めて抱きしめ返されて、耳元でそう囁かれピクリと反応する体。
「あー、だめだ。ちょっと、もう帰ろ」
「え、かえ…?もう?」
私の質問には答えず肩を捕まれ、引き剥がされたと思えばズンズン歩いてって車の助手席に私をグイグイと押し込む。
初めて乗る翔太くんの車。
「バイクの方がいいかなって思ったけど事故で廃車になったからこっちで来た」
まあ寒いから車の方が快適だしいっか。なんて呑気に言ってるけど、今の私はそれどころじゃない。
緊張して固まっていると運転席に座った翔太くんが後部座席から花束を差し出した。
「…すごい、綺麗な花束」
「卒業おめでとう」
「ありがとう。嬉しい」
「あと、これもやる」
「ブルーサイダー…」
「都会にもちゃんとあったぞ」
キャップを開けてひと口飲めば、夢の中のそれと同じ味がして少し緊張を忘れられた。
「じゃ、とりあえず帰るぞ」
「もうバイバイ…?」
「ちげーわ。Aも俺ん家連れて帰るんだよ」
俯いて手元のサイダーを眺めていると翔太くんの口からとんでもない爆弾が落とされた気がする。
「え?なに?もっかい…」
「だーかーら、俺ん家に帰んの。大丈夫、お前のお母さんにはさっき会って許可もらった」
「いや、そこじゃなくてっ!」
「ちゃんと心の準備しとけよ」
そう言って私のおでこにひとつ、キスを落とす。
「帰ったらこんなんじゃ済まねぇからな」
今にも唇同士が触れそうな距離でそう言うと私の手からブルーサイダーを奪った。
そして2つのドリンクホルダーに仲良くブルーサイダーを並べると満足そうに笑って車を発進させた。
Fin
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aya(プロフ) - シリーズ読み直し月間♡担当様に辿り着きまたもうはうはなってます\(//∇//)\ほんとこのお話大好きで、一番読み返しています💙最後のヤキモチやきちゃん可愛いすぎからの〜急に出てくるオスみがやばいです(〃ω〃)ぐはー (9月18日 19時) (レス) id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - SNさん» ありがとうございます。ちょっと不思議なお話はなかなか書かないので、どうかな?と思いましたがそう言っていただけて嬉しいです! (8月6日 11時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
SN(プロフ) - 初めて感想書きます!主さんの書く小説は、全部最高すぎます!!!このお話もファンタジーの要素が最高すぎて号泣しました。これからも頑張ってください!! (8月5日 18時) (レス) @page38 id: 1341639bc7 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 月夜見(つくよみ)さん» コメントありがとうございます。私もついに人を泣かせる物語を書けるように…(調子乗るな)応援ありがとうございます。これかろもよろしくお願いします♪ (2022年6月11日 13時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(つくよみ) - 初めて感想書きます!!最後の目覚める所見て、もうボロボロ泣きました…。感動系+結ばれる話、自分物凄く弱いんで、泣きました(二回目)主さんの書く小説好きなので、これからシリーズ読んで行こうと思います!これからも頑張って下さい!応援してます! (2022年6月10日 19時) (レス) @page39 id: 10b0189fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年11月29日 10時