ブルーサイダー

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夕方になると雨がやんでシロの散歩に行くことに。

シロも外に出たかったのかテンション高く私をグイグイ引っ張る。


「そんな急いだらこけちゃうよ!…私がっ」


いつもは通り過ぎる公園の中に一目散に走っていく。


「ええっ、ちょっ、シロちゃん!?」

「おお、びっくりした」

「あ…翔太くん」


シロが向かった先は翔太くんの足元。


「お前は今日も元気だな」


翔太くんに撫でられて嬉しそうにしっぽを振りまくるシロ。

翔太くんの優しい声が心地よく耳に入ってくる。

昨日もその前も聞いてるはずなのに、やっと聞けた。

そう思っている自分がいる。


「翔太くん、ここでなにしてたの?」

「アレ見てた」


翔太くんが指さす先を見る。


「虹…」


気づかなかった。

ずっと下向いてたんだ、私。

写真を撮ろうとポッケからスマホを出してカメラを起動する。

すると横から手が伸びてきてヒョイッとスマホを取られる。

不思議に思っていると内カメにして私を引き寄せ、カシャリと音が鳴った。


「ほら」


画面を見ると爽やかな笑顔の翔太くんとびっくりした顔の私。

背景には綺麗な虹。


「すっげー逆光」


私の顔をドアップにして遊ぶ翔太くん。


「顔…ふははっ」

「ちょっと!ひどくない!?」

「かわいー…」


クスクスと笑う翔太くん。

…かわいい?

今まで感じたことのない感情。

ギュッと心臓を掴まれたような。

それと同時にまた懐かしい感覚。

これも、どこかで似たような体験した気が…。

だけど散歩から帰っても寝る前になっても思い出すことはなかった。

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