サッカー部の目黒くん

After Story1 ページ32

＿


「なーんか、あっという間だったね」

「せやな」


卒業式が終わって静かな教室に望実と康二と私。

窓の外を見ればグラウンドに女子の塊。

真ん中には目黒くん。


「めめはずるいなぁ。彼女できても人気は変わらへんくて最後まで女子に囲まれて…」

「康二と違ってあんなに囲まれてもA一途だから」

「なんや俺は目移りするみたいな!」

「事実」

「そんなん分からへんやん!」

「たしかにモテてみないと分かんないね」

「…むぅ」


そんな2人のやり取りを聞きながらずっと目黒くんを見る。

卒業式の日までここで眺めるなんて。


「…私、彼女なのに」

「…のんちゃん聞いたか?」

「ばっちり」

「ここから眺めるだけで充分…って言ってたAが」

「こんなことを言うようになるなんて」

「…うるさい」


自分でも怖いんだ。

目黒くんとの時間を過ごす度にもっと近くにいたいっていう思いが大きくなってくことが。

嫉妬とか束縛とか目黒くんは嫌いだろうからしたくないし、心の広い、目黒くんが自慢できるような彼女になりたい。


「…帰る」


だけど今日はモヤモヤして目黒くんに嫌な態度を取ってしまいそうだからチャットだけして1人で帰ろう。


「ちょちょちょ、もうちょい待とうや、な?な?」

「やだ、」

「なにがやなの?」

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