近すぎて言えない。

２７：Side 青 ページ27

　
　
　
　
　
　お互いに好きって伝えてから、調子がいい。
　
　
　
　俺ね、浮かれてるの。
　
　
　
　かと言って、べたついたりはしないけど、

　好きって伝える前の嫌な苦しさは無くなった。
　
　
　
　もう堂々と、お前を好きでいられる解放感。
　
　
　
　ずっと隠したり抑え込んできたから、なんか楽になった。
　
　
　
　でもメンバーには言ってない。
　
　
　
　言うつもりもない。


　俺達だけのモンだから、

　秘密にしてるのも楽しいの。


“今日、お前んちで飲もう”

　スマホいじってる涼太にメールを送る。
　
　
　
　…………
　
　
　
　届いているはずなのにあいつ表情ブレないから、いまいち分からないけど、


“いいよ”


　って返ってきた。


「しょっぴー何ニヤついてるの？」
　近くにいた目黒が可笑しそうに笑った。


　目黒にはいつかこの秘密言ってもいいかな。


　でも、数十年後な。
　
　
　
　
　仕事終わり。


　涼太んちに入って、早速ビールで乾杯。


　飲みながら
「何か適当におつまみ作ろっか」
　と涼太はキッチンに立った。
　ホントこいつおしゃれ。


「ねー俺肉食いたい！」
　涼太を追って俺もキッチンへ行く。


　別に手伝わない。
　
　
　
　後ろから涼太の肩にアゴを乗せて、腰に腕を回したから。
　
　
　
　ハハハ！涼太止まった。


　俺達で恋人同士のやつは当然慣れてないから、
　初めて見るこういう反応がめちゃめちゃ楽しい。


「……ビールって肉を柔らかくするんだって」
　俺のビールを見ながら言った。


「……飲みたいからダメ」
　涼太の手元から俺のビールを遠ざけた。


「…………」
「…………」

「……翔太」
「うん」

「邪魔」
「……それはねぇ、知ってる」


　さっきから動きづらそうだった。

　けどもうちょっとだけ離れずにいるわ。
　
　
　
　首に唇を埋めたいから。
　
　
　
「…………」


　涼太の体が強張った。
　
　
　
　……お前の考えてる事分かる。
　
　
　
　この後のこの先の事。
　
　
　
　体を離してソファへ戻る。
　
　
　
　
　また
　
　
　
　
　あとで。
　
　
　
　
　

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