無慈悲な彼は女の子（軍パロ）【d！】 (ページ10)

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第9話ページ10

......

「...もう、それっ、それ以上は何も知らねぇ...ｯ！ほ、本当なんだっ！！」

『...なるほど』

嘘だな、と思えば足の爪を剥ぎ、身体の至る所をナイフで薄く斬り付ければ、彼はどんどん情報を吐いてくれた。
どうやら、彼の国___リーテンの総統は領土の拡大をもくろんでいるらしく、まずは隣国の我々国から、という理由で彼を潜入させたらしい。
...この彼は、総統の小間使いにされてたってわけか。

「もｯ...もう、か、勘弁して...くれ...ほ、本当にA様...なん、だな...」

『...わかって頂けたようでなにより。まぁ、今回の刑はいつもより軽いですけど』

「...慈悲ってもんは...ない、のか...」

『...そのようなものを持ち合わせていたら、この仕事をずっとやり続けるのは無理があるでしょうね』

...慈悲？そんなもの、とうの昔に捨ててきている。

おそらく、この出血量から見るに、彼はもうじき息絶えるだろう。そろそろ意識も薄くなっていく頃だろうか。
...ならば、聞かなくては。
生死の狭間の方が、人間は本性を出しやすい。

『お仲間(他のスパイ)は我々国にいらっしゃるので？』

「...暗殺部隊に...ひとり...、あと...遠距離部隊に...も...ひとり...」

『...なるほど』

「...も、もう...殺して、くれ...」

『いいえ、私はまだ貴方を殺せない。貴方には、あとひとつ聞くことがある。それに答えてくださったなら、楽になれます(・・・・・・)よ』

「...はやく、してくれ...」

『貴方は、我々国の一流拷問官と称されている人が”女”だと知って、何かお思いになることはございました？』

そう問えば、彼は血の滴る口角を上げ、同時にその目はゆっくりと弧を描いた。

「ふっ...そうだな、こんなちっぽけな女は”一流”なんて呼ばれる価値もねぇ！」

『...そうですか』

さっきまで”A様”と言っていたのがまるで嘘のように、彼は嘲弄し続ける。

「大体なぁ、女は男に従ってりゃいいんだ！お前は兵士から慕われてんだろうが、所詮拷問しか出来ねぇ女なんだろ？！戦争じゃ何の役にも立たねぇ！」

...さっきまでの苦しむ様子は何処へやら。
女から拷問されたことへの憤りからか、彼は怒鳴り続けている。

「女嫌いで有名な幹部たちに、女だっつったらどうなるんだろうなぁ？その惨めな様を見...あ”ｯ」

『さよなら』

思わず、銃口を彼のこめかみに押し当て...その引き金を引いてしまった。

...任務、完了。さぁ、総統に報告しなければ。