無慈悲な彼は女の子（軍パロ）【d！】 (ページ12)

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第11話ページ12

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os「___そんで、聞きたいこと聞けたん？」

マカロンを一口頬張ったところで、そう聞いてくる彼。

『はい、予想通りの返答でしたが』

os「...せやな」

“私が聞きたいこと”...
それは、私が仕事(拷問)の時に男装をしないもうひとつの理由でもある。
すると、抑え気味な声で彼が話し出す。

os「女の子が兵士でもええと思うけどな」

『...それは、貴方が寛大な心をお持ちだからでしょう。”女は男に仕える者”という認識は未だ根強く残っています。軍事国家となれば、尚更です』

os「うーん...」

そう、私が女の姿で仕事をするもうひとつの理由は...

”存在価値を問うため”

地下牢に閉じ込められるスパイは、様々な国から、様々な理由でやって来る者たち。
...ゆえに、各々多種多様な価値観を持っている。
それを利用して、彼らに”女としての己の存在価値”を問うているのだ。

os「これからも女ってこと隠し続けるんか？」

『はい、幹部として働く限り、男として生き続けます。特に、ゾムさんとかコネシマさんは女嫌いだと明言してらっしゃいますし、皆さんと関係値は変えたくありませんので』

os「Aがそうするって言うんやったら俺は止めへんけど、辛くなる前に俺とかペ神に相談するんやで？」

『お気遣いありがとうございます』

os「気遣いとかやなくて、Aのことが心配なんや。
...Aも、ひとりの女の子なんやから」

そう言って、オスマンさんは、私の頭を優しく撫でる。
気持ち良いその心地に浸っていれば、どこからともなく聞こえてくる声。

ut「あ！マンちゃんがAに手出しとる〜！！」

声の主は、バルコニーの入口でこちらを指さす大先生だった。
まずい、オスマンさんにあらぬ誤解が...

『あ、いやあの...』

os「ちゃうで。...A、仕事終わりやねん」

オスマンさんは、私の言葉を遮ってそう言う。
すると、大先生はその言葉の意味を理解したようで。

ut「...A、お疲れさん！...あ、一緒に城下行かへん？
今日女と約束ないねん」

os「大先生、書類終わったんか？」

オスマンさんが微笑みながらそう言えば、大先生の顔は途端に青ざめていく。...またか、この人。

os「はい、書記長室行くで〜」

ut「ぎゃぁぁぁあ〜！！」

席から立ち上がり、オスマンさんは叫ぶ大先生を無理やり連れて行く。
すると、オスマンさんが去り際に振り向き口を開いた。

os「ちゃんと休むんやで〜！」

その言葉に、私はそっと会釈を返した。