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捌話 ページ10

みんな、何も言わず呆然としている。

いつも「だー!あのひびきのやろー!」なんて叫ぶドロシーも固まって動かない。
しばらくして呟かれた「ふざけるなよ」はとても小さかった。

少し後にやってきたあろまにも説明すると、「なんで、なんで」と悲しげな声を上げる。

街の大きなテレビモニターから入ってきたプリパラTVは昨日からしつこく同じ音楽が流れていた。

プリパラはやはりとても煌びやかで今の私たちの気分と対照的である。

端の丸いテーブルを囲むように置かれた高級なソファに座っていると、側で歓声が上がっていた。

何事かと顔を上げるた私は驚く。

「らぁら、そふぃ、シオン、みかん……」

レオナの手を取り、バッと飛び出していったドロシーを目で追う。

なにかを話しかけた2人をじっと見つめた後、あのコーデを身に纏ったシオンは首を傾げた。

他の3人の様子を見ていても、友達と、知っている人に対する態度じゃないと分かる。

あろまと目が合うと、同じ事を考えていたのか悩んでいるような表情を見せる。

「もしや……」
「まさか」

泣きながら戻ってきたドロシーは、
「僕たちのこと知らないって、何の話か、誰だって」
と呟いた。

「そのまさか……?」

気がついたら、私たち2人はひびきさんの部屋に向かっていた。

入れてもらえた、否、待っていたんだと思う。

私たちがこの事実に気付いて、問い詰めに来ることを。

「ひびきさん!!」

「君たちなら来ると思っていたよ」

私の声を聞いた彼女は一瞬不敵に微笑んだあと、いつもの冷静で澄ました表情を作り振り返る。

語尾で執拗に攻撃を仕掛けても良かったが、生憎私にいちいち語尾をつける時間の余裕はなかった。

「あの子達に何をしたんですか?」

私が語尾をつけてこないことに、ほんの、ほんの少しだけ驚いているように見える。

「何って?ああ。彼女たちが望んだことだよ」

「どのように行ったんですか」

「それは教えられないな。それ(彼女たちの記憶)はもうシステムの奥底さ」

「はあ、なるほど。分かりました。では失礼します」

ここで反論しても無駄だと感じ、あろまの手を引き、部屋を出る。

家に帰り姉と、しばらくの間うちに泊まりに来てくれることになったAにこのことを話すと、
Aは「じゃあ今、シオンにとって私は知らない人扱いなのか」と落ち込んでいる隣で、姉は何かを思い出した様に声を上げた。

「確か、あのコーデにも特別な力があって……

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kaoruumi - この小説の続きが読みたいです、結構好きです (2022年12月29日 23時) (レス) @page13 id: a3f0b979cf (このIDを非表示/違反報告)
真歩路(プロフ) - Mahoさん» え?マジですか??嬉しいです〜。更新遅いですけ待っててください! (2018年8月21日 17時) (レス) id: c4fa7f7861 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - この小説しゅき (2018年8月21日 5時) (レス) id: 2ec5e76728 (このIDを非表示/違反報告)
真歩路(プロフ) - さよならだけどさよならじゃないさん» こんな駄作をみていただきありがとうございます、、!亀更新ですが宜しかったら楽しみにしててください(^O^) (2018年8月1日 19時) (レス) id: c4fa7f7861 (このIDを非表示/違反報告)
さよならだけどさよならじゃない - 続きがめちゃくちゃ気になるぅぅ!! (2018年8月1日 19時) (レス) id: 63e6d5f92e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真歩路 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月7日 23時

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