夏なんて嫌いだった (ページ15)

今日:9 hit、昨日:21 hit、合計:26,498 hit

別れの日ページ15

いつもの朝

いつもの空

最初よりはだいぶ涼しくなったおばあちゃんのお家

でも

心にぽっかり穴が空いてしまったみたいで

貴方が居ないだけでこんなに悲しいんだって

私の夏休みもそろそろ終わる

昨日は沢山泣いたし

今朝の私の顔は酷かったみたいで

おばあちゃんにも

お「恋の病は私には治せないからね…」

お「ごめんねぇ」

なんて謝られた

阿部くんは今朝、ここを旅立った

阿「デビューしたらさ、連絡先も変えることになりそうだから、この写真待ち受けにしておく」

阿「だから、Aちゃんもこの写真待受にしてね？」

そう言われ貰った写真は私と阿部くんが初めて会った

あの場所にいる大きな猫の写真

この写真しか阿部くんといたって証拠はないけど

いつか、絶対に

大きくなって日本に帰ってくる

そう決意して、私も東京に帰った

お母さんにもお父さんにも

何かあったの？なんて心配されるくらい勉強した

初めて心配された

そんな嬉しさもあり、さらにシャーペンはスピードを増した

あっという間に高校も卒業して

とうとうイタリアに旅立つ時

私を勇気づけてくれたのはあの日の写真

阿部くんはもう忘れてるかもしれない

そんなマイナスなことしか考えられないけど

なんて思っていると

新幹線のホームで人を避けられず

ぶつかってしまった

A「ごめんなさい…」

そう伝えると

『いえ…こちらこそすみません』

その時にぶつかってしまったのは

まだまだ少年なのに何故か大人びていて

その彼を見たら色んなアイデアが浮かんで

人目もはばからず

直ぐにメモを取り

彼に向けて

A「ありがとう！！」

そう叫んでいる私がいた