夏なんて嫌いだった (ページ12)

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2人の思い出ページ12

その音がした方へ目を向けると

すっごいニコニコの顔でこちらに

カメラを向けている阿部くん

A「絶対に撮ったよね」

阿「うん。可愛くて笑」

A「そうやってファンの人もおとしていくんですね…」

A「さすがアイドル様です…」

そう言わないと

心臓が爆発しそうで

何とか伝えると

阿「ううん。俺は今アイドルお休み中だからさ」

阿「だから本音。」

急に真剣な顔で言うもんだから

恥ずかしくて他の話題を振ろうとすると

阿「俺ね、今アイドル失格かも」

なぜだか今までの雰囲気とは違う阿部くん

阿「俺さ、アイドルだから、デビューしたいから」

阿「恋愛なんて絶対にしないって決めてたの」

阿「進学のためにアイドルのお仕事も休んで、そうするとみんな俺と近付きたいからってめっちゃ寄ってくるわけ」

阿「今ならいけるって」

阿「俺だって人間だからさ、周りの人に嫌われたくないからなあなあにしてた」

阿「でもさ、アイツらが見てるのは俺じゃないの」

阿「アイドルの阿部亮平なのよ」

阿「それに疲れてこっちまで逃げるように出てきて、そしたらさ、同じ顔してるAちゃんがたまたまあの場所にいたの」

阿「あー、この子も疲れてんなーって思って静かに観察してたの」

俺、あの時何よりも勉強命だったのにって笑ってる阿部くん

全てが自分と同じ状況で

私の周りにも'金持ちのお嬢様'

後継者っていうのが私の見られ方で疲れてたんだ

自分の事のように悲しくなっていると

阿「だからね、Aちゃんと話すうちに知らないうちに本当の俺を見てくれてるって嬉しくなっちゃって」

阿「いつの間にか好きになってた」

'好きになってた'

その言葉に驚いて阿部くんの顔を見てみると

阿「ごめんね、困らせるだけだって分かってる」

阿「俺、明日帰るの、早い電車で」

そんな告白に

全く頭が追いつかなかった＿＿＿＿