１ はじめまして、六姉妹 ページ2
｢わ…わ……私がいる？！｣
部屋に1本入って、私は何度もまばたきをした。
夢？ 痛い…夢じゃない！ え？！じゃあ、どういうこと？！
つねった頬をさすりながら、混乱でよろめく。
だって、だってだって！
今、私の目の前には、自分と同じ顔の女の子がいるんだもの！
しかも、一人だけじゃない。
一人、二人、三人、四人…何と五人！！！
めっちゃ居るじゃん！！！
｢｢｢｢｢………！｣｣｣｣｣
イスに座っている私…じゃない、私と同じ顔の五人も、まったく同じように驚いている。
見開いた目も、
ぽかんと開いた口も、
胸くらいまである髪も、みんな私と同じだ。
まるで───鏡の中から自分が五人ぬけでてきたみたい………！
ひゅ…私の肺が忘れていた呼吸を再開する。
そのとたん、私は急に頭が回転しはじめ、心臓が大太鼓みたいにドンドン鳴りだした。
どど、どうなってるの？！一体何なの？まさか、こ、これって…
｢ど…ど………ドッ……………………………｣
ドッペルゲンガーーーーーー！？
叫ぶ寸前、
｢やっと六人そろったね！｣
男性の大声がとどろいた。
ビクッとしてふりかえると、まるで熊みたいに大きな男の人が、どーんと立っている。
だ……誰？
と聞くヒマもなく、
｢君は宮美三風さんかな？｣
｢あ、はい。あの…｣
｢まあまあ、とにかく中に入って！｣
私は強引に部屋に押し込まれ、ドスン！と勢いよくイスに座らされた。
｢僕の名前は富士山鷹雄！国のえらい人だ！わはははは！｣
男の人は、大きな口を大きく開き、メガホンでも通したような大声で言った。
私、完全に固まっちゃって…。
横を見ると、同じようにフリーズした私が五人。
まるで熊の前にウサギが六匹ならんでるみたい。
一体、どうなってるの？
私達はかたずを飲んで富士山さんを見つめた。
｢ははは、びっくりしてるね！うんうん、無理もない。だけどまずは聞いて欲しいんだ。実はね…｣
すると次の瞬間、その口から思わぬ言葉が放たれた。
｢君たちは六つ子だったんだ!｣
｢｢｢｢｢｢えっ｣｣｣｣｣｣
まったく同じ声が六つ重なった。
……む……つ……ご………。
まるでスローモーションみたいに、言葉の一文字一文字が、私の心にひびきわたった。
何も言葉が出てこない。
そんな私たちを見て、富士山さんは優しく微笑んだ。
｢君たちはひとりぼっち、天涯孤独なんかじゃなかったんだ───家族がいたんだよ。｣
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作者名：最近更新停止 | 作成日時：2021年11月20日 10時
