虎杖悠仁の幼馴染（前）【番外編】 ページ10
遠足、それを聞いてはしゃがない人間がいるのだろうか。いやいないね、だって遠足！俺も例に漏れず、はしゃいぐ人間。自然に触れ合い友達と駆け回るイベント、それが遠足！
と、ここで走っていた足が止まった。あそこの木陰で寝ているヤツがいる。お弁当を食べる場所を探していた目は、一人で眠るアイツに釘付け。お弁当も食べずに、ひたすら眠るアイツ。確か、桜崎A。
「弁当食べなくていいのか？」
スースー、起きない。かけた声で一瞬目を開けて、また寝出した。コレ、絶対聞こえないふり。ここでへこたれなかったのが俺、今度は肩を揺らした。
「なーなー、起きろよ。弁当ねーの？」
「うるさい」
「あ、起きた！」
鬱陶しそうな瞳が俺を映す。
「弁当食わねーの？」
「忘れたからない」
「マジで！？それじゃ、先生に言いに行こうぜ」
「行かない。お腹すいてないし」
嘘だろ！？もうお昼なのに……イライラしているアイツは話は済んだと言わんばかりに目を瞑る。待って、まだ話は終わってない。
「でも、先生に言ったらお前の母さんが弁当持ってきてくれるかも知んないじゃん」
「母さんは来ないよ」
「父さんは？」
「父さんもいない。もういいでしょ？私はここで過ごすから、君は友達の所にでも戻って」
イライラした目でコイツは言った。そういえば、爺ちゃんが人がイライラしてる時は大体お腹が空いてる時って言ってたな…やっぱりお腹空いてるんじゃ。これからずっとお腹を鳴らしてるのは可哀想だ。
ゴソゴソ、リュックをあさる。
「食えば？お腹空いてるだろ」
「ちょ、むぐっ」
口におにぎりを突っ込んだ。具は何か忘れた。
「うまいだろ？爺ちゃんと作ったんだよ」
「……美味しい」
ポツリ、呟いた。噛み締めるような響きが籠った言葉だった。
「お米、久しぶりに食べた」
「マジで！普段何食べてんだよ」
「…なんだろ。あんまり食べようと思わないから」
マジマジとAを見る。確かに、あまり沢山食べているような体じゃない。俺が手を握ったら壊してしまいそうだ。
……コイツ、見てないとすぐに死にそう。
「なんでこんな所で寝てたの？」
弁当を広げながら問いかけた。パチパチ、目を瞬かせてAは答える。
「わかんない。なんか、誰かをずっと探してるの」
「誰かって？」
「それもわかんない。でも、蹲ってたら迎えに来てくれる気がして」
そう言ったAは何処か遠くを見つめていて、今にも消えてしまいそうだった。
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lala - 宿儺と夢主との愛がもうなんというか美しすぎてほんとに好きです……歪んだ愛そのものを表しているかのよう…そして何より文の作り方がお上手でとても読みやすかったです。更新楽しみにしております。無理はなさらないよう頑張ってください！ (2022年1月24日 2時) (
レス) @page48 id: d69b352aad (このIDを非表示/違反報告)
ジョリ - 2人の愛とか、夢主ちゃんの思いやりとかで泣きそうになりました。更新楽しみにしています（╹◡╹）無理の無いように頑張って下さい(*´꒳`*) (2022年1月9日 20時) (レス) @page48 id: aa78d32f78 (このIDを非表示/違反報告)
優月(プロフ) - この作品とても大好きです (2022年1月9日 18時) (レス) id: 2ec0497ee9 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 83EPHNUQX3O3FI8さん» コメントありがとうございます。不快な思いをさせてしまっていたら申し訳ありません。直ぐに修正します。 (2021年12月19日 13時) (レス) @page40 id: 125efbe70f (このIDを非表示/違反報告)
83EPHNUQX3O3FI8(プロフ) - この小説で宿儺の株が上がりました。あと、未亡人って差別用語だと思います。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page48 id: 5b2f0bd76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年1月17日 16時
