前世は両面宿儺の妻だった。２【呪術廻戦】

家族ですから ページ46

＿＿＿悠仁、悠仁。起きて。


A……！？どしたんだよ！？いつもは俺が起こさなきゃ起きんのに！


何言ってんの。私はいつでも悠仁より早く起きてるじゃん。ほら、早く布団から出て。旦那様を起こしに行かなきゃ。


＿＿なんでA、着物なんて着てんの。高専の制服はどしたんだよ。


え？変な悠仁。私は高専の人間じゃないよ。旦那様がいないのに、なんであそこの味方なんてするの。


なんでって！釘崎は！伏黒は！五条先生は！みんなお前の仲間だろ！俺もお前も、高専の仲間だろ！今まで、一緒に生きてきただろ！家族って、ずっと一緒いるって！


ふふ…悠仁は寝坊助さんだね。


あんなに沢山の人を殺しといて、まだ仲間なんて言うの？人殺しが、なんで受け入れてもらえるなんて考えてるの？お前と私が家族？バカも休み休み言いなよ。私の家族は旦那様であってお前じゃない。思い上がらないで。化け物が、どうして私の隣に立てるの。




…………なあ、




お前、俺の事、好きか？


あははは！気でも狂ったの？大っ嫌いに決まってるでしょ。


……やぱっり、やっぱり。


｢お前誰だよ｣


・


眩しい光に包まれた。そう感じた瞬間には、もう既に宿儺が目の前に立っていた。偽物はどこにもいない。此処には、眉間に皺を寄せた宿儺と俺だけだ。


｢つまらんヤツだ。なぜお前はAに固執する｣
｢Aは俺の家族だ。それ以外あるか｣
｢………ハア…あのまま殺しておけば良かった｣
｢んだと！｣
｢お前が死ねばAが泣くから生かしてやっただけのこと。俺は、お前が死のうと生きようとどうでもいい………オイ、なんだその目は｣
｢……いや、お前……ちゃんとAが好きなんだなあって｣
｢脳が腐ったのか？当たり前の事だろう｣
｢……お前は邪悪だし生かしてはおけない。お前は俺と死ぬ、そこにAは絶対巻き込まない。………でも、お前が死んだらAも死ぬんだろうな｣


Aを人にしたのは、他の誰でもないコイツだった。俺じゃアイツの心を埋めることは出来なかった、それだけ。俺じゃなくて、宿儺にしか出来ないただ一つの事。


空いてしまった心の隙間を埋める術を俺は持たない。宿儺の居場所は宿儺しか埋められないし、俺の居場所も俺しか埋められない。宿儺によって保たれていたAの心から宿儺がいなくなったら、今度こそAは壊れてしまう。


それ以上に恨めしい事はなかった。

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