下手くそ ページ39
「さっき虎杖君と一緒にいませんでした?」
と、優子に声をかけられたのが始まり。虎杖に恋するこの子は、照れたようにテーブルに視線を落としている。
伏黒を呼んだのは15分前。虎杖に連絡を入れたのは5分前。映画を見たいと言って別れたから、そこまで遠くにはいないはず。
「あれ?伏黒もいんじゃん」
「はやっ!え!?なんであんたA抱っこしてんのよ!?」
「Aも近くで任務だったらしいし、そりゃ一緒に見るだろ」
現れたのはAを姫抱きにした虎杖。……最悪、忘れてた……虎杖にはAがいる!!付き合ってはないがこの二人の距離感は異常!!そして、優子の事を虎杖が分からないかもしれない問題!色々重なりすぎて最悪どころではない。しかし、それを裏切るのが虎杖。
「あれ、小沢じゃん。何してんの?オイおきろA。小沢いるから。仲良かったろ?」
「………小沢?」
薄ら目を開け、Aは優子に目を向ける。……あ、小首傾げた。
「同じクラスだったろ?」
「………いたっけ?」
「今は髪の色とか身長とか違うけど……ほら、Aと同じくらいの身長で、髪が短めで、」
「………え゛」
何か思い当たったのか、虎杖の肩に乗っていた頭は起き上がり、ブリキのような首の回転で私と目を合わせた。
「そういうこと、だったり?」
「ええ、そういうことね」
「……悠仁!下ろして!」
「は!?ちょ、危ないって!分かった分かった!下ろすから!」
ストンと地面に下りたAは、そっと伏黒の隣に座った。一つのソファーに高校生三人は多少暑苦しいが、まあ仕方ないとしよう。
「悠仁はそちらにどうぞ」
「急になんだよ……あ、寝癖ついて」
「俺が直すから早く座れ!」
「本当になんだよ……」
優子の目の前でこれ以上虎杖とAのイチャつきを見せる訳にはいかない。伏黒、ナイス。
「桜崎さんもこっちに来てたんだね」
「うん、まあ」
「A、コレ美味いぞ。食べるか?」
「いいの!?食べ…な、い」
「そうか?」
「小沢さんの方が欲しがってると思うよ」
「そうなん!?」
「いいえ!?そんな……」
((コイツ、下手くそだ!))
虎杖がAは友達作りが下手と豪語するのは、間違っていなかったのか…話を振るのが下手すぎる。普段の会話をいかに虎杖に丸投げしていたのがよく分かった。
「やっぱり、虎杖君と桜崎さんって仲いいんだね」
「…うん、家族だから」
取り返せてるって顔してるけど、それはそれでマウントだから。
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lala - 宿儺と夢主との愛がもうなんというか美しすぎてほんとに好きです……歪んだ愛そのものを表しているかのよう…そして何より文の作り方がお上手でとても読みやすかったです。更新楽しみにしております。無理はなさらないよう頑張ってください! (2022年1月24日 2時) (レス) @page48 id: d69b352aad (このIDを非表示/違反報告)
ジョリ - 2人の愛とか、夢主ちゃんの思いやりとかで泣きそうになりました。更新楽しみにしています(╹◡╹)無理の無いように頑張って下さい(*´꒳`*) (2022年1月9日 20時) (レス) @page48 id: aa78d32f78 (このIDを非表示/違反報告)
優月(プロフ) - この作品とても大好きです (2022年1月9日 18時) (レス) id: 2ec0497ee9 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 83EPHNUQX3O3FI8さん» コメントありがとうございます。不快な思いをさせてしまっていたら申し訳ありません。直ぐに修正します。 (2021年12月19日 13時) (レス) @page40 id: 125efbe70f (このIDを非表示/違反報告)
83EPHNUQX3O3FI8(プロフ) - この小説で宿儺の株が上がりました。あと、未亡人って差別用語だと思います。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page48 id: 5b2f0bd76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年1月17日 16時