仏は全てを知っている ページ10
悠仁の爺ちゃんが死んだ。私と悠仁に遺言を残して眠るように死んだ。私は死んだことがある癖に事態を飲み込めず、立ち尽くしていた。
「ねぇ、起きて」
爺ちゃんに触れる。いつも撫でてくれる手は暖かかった筈なのに、今は私よりも冷たかった。
「ねえ、起きてよ。お願いだから。まだ、私爺ちゃんに何も返せてないよ。何よ、お前にはいっぱいいろんなことを貰ったって。そんな事した覚えないよ。まだ、10分の１も返せてないから。だから」
「A……爺ちゃんは死んだよ」
悠仁がそっと私の手を触れる。暖かい手の平は私が爺ちゃんにあげた熱を送り返しているようだった。知ってるよ、死んだなんて。私が言うんだから間違いない。でも、
「死なないでほしかった」
「……うん、俺も」
ぽた、ぽた。重ねた手に雫が垂れる。一体どちらの涙なのか分からないまま、私たちは寄り添っていた。
親の愛情を知らない私に不器用な愛を注いでくれた、ただ一人の人。私、本当に貴方に救われてたの。前世も今世も親からの愛情なんて感じたことがなかったから、本当に嬉しかった。父がいたらこんな感じかなって。言ったら爺ちゃんは照れくさくて突っぱねるだろうから言わなかったけど。
大好きだよ爺ちゃん。
無性に旦那様に逢いたくなった。私は旦那様にこんな苦しい思いをさせていた。あのクソ野郎が来なくて、もしくは私が油断していなければ私はもっとずっと旦那様の隣で笑っていたのに。貴方にこんな思いをさせることなんてなかったのに。
もっと、両面宿儺の情報を集めなければ。出来るだけ早く、私が前世よりも老いてしまう前に逢いに行かなければ。時間は有限だ。私たち、人間には限りがある。旦那様と一秒でも長く一緒にいたいのなら一秒でも早く探し出さないと。
ねぇ、旦那様。私はあなたを必ず見つけ出します。貴方の中の私が死んでいなくなってしまう前に。私が、貴方を見つけれずに死ぬ前に。世界が私に牙を剥こうとも、後ろ指を指そうとも、私は諦めない。旦那様が私の中にいる限り、私は貴方を絶対に諦めない。
もうすぐ、あえるよ。
誰かの声が聞こえた気がした。
「虎杖悠仁だな」
私と悠仁の前に黒い服で身を包んだ男が現れた。
名は伏黒恵、呪術師だ。
此奴についていけば、何か分かるかもしれない。
私の感がそう告げていた。
大切なのは君、愛してるのは貴方。→←貴方となら死んでもいいわ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5682人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうちゃんンンン(プロフ) - コメント失礼します。この作品を作っていただきありがとうございます。大好きですもし良ければなのですが、前世の記憶が無いバージョン？を作って欲しいなと思っています。自分、悠仁と宿儺推しでして、図々しいと思われるかもしれませんが気が向いたら作ってほしいです (8月2日 13時) (
レス) @page50 id: f5df7aa05f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 大好きですぅぅ (2022年1月25日 1時) (レス) @page50 id: 639ef9d5fe (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - タイトルがモロ好みで作品も最高でした！最後の蛇足も良かったです！ (2021年6月22日 20時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
西 - たまに出る夢主ちゃんのツッコミっぽい口調がとてもおもしろいです。。ありがとうございます。 (2021年3月29日 2時) (レス) id: a86aefda0e (このIDを非表示/違反報告)
宿儺 - 宿儺マジ神かよ♪素敵 (2021年1月20日 19時) (レス) id: c0f52421e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きなこもち | 作成日時：2020年12月19日 15時
