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甘い甘い、二人の空間 ページ49

ふわ、頭を撫でられている。隣には人の気配、悠仁だろうか。最近は直接起こしに来ることはなかったから珍しい。もう少し、寝かせて。


「起きろ、A」


パチリ、反射で目が開いた。隣にいたのは悠仁ではない、旦那様だ。でも、え?何で旦那様が私の部屋にいるんだ?……夢か、都合の良い嬉しい夢。旦那様は今、悠仁の中にいるはずで、私の隣にいるわけはないのだ。


夢なら何したっていいか。ぎゅ、旦那様の胸に潜り込んで匂いを嗅ぐ。うん、旦那様の匂いだ。再現がここまで完璧なのはすごい。すごいぞ、私の記憶力。でも、夢なら悠仁の姿じゃなくて前世の姿が良かったな。今も十分かっこいいが、たまには前の姿も見たい。


「旦那様」
「なんだ?」
「ふふ、声まで完璧に再現されてる。愛してるって言ってください」
「愛している」


ちぅ、唇に柔らかいものが触れて、幸せで破裂しそうだ。早く本物の貴方に逢いたい。夢でこんなに幸せだから、きっと現実であったら溶けてしまうだろう。


目を開けて、旦那様に顔をみる。ウッイケメン。全部、私だけの人。誰にも一欠片だってあげない。悠仁は特別。君のおかげで旦那様に会えたから特別。


「会いたいなぁ」
「誰にだ?」
「本物の旦那様」
「ここにいるだろう」
「何言って……ん?」


ここ、前世の家の寝室?


思わずガバッと起き上がって窓から顔を出す。外は赤い液体で地面が満たされて、骨の山が見える。振り返ると、笑う旦那様。え?夢じゃない?近く寄って頬に手を添える。私より幾分か低い体温。


「???、夢じゃない」
「ここは俺の生得領域だ。ここなら、誰にも邪魔されずお前に触れられる」
「生得、領域…」
「心の中と言い換えても良い」


旦那様は私を足の間に座らせて、首元にちゅ、と触れた。心の中、という事はここは旦那様と私以外いないのか。てか、私どうやってここに入ったんだろ。


「お前は俺が引きこんだ」
「引き込めるもんなんですか…?」
「ああ、俺とお前は一蓮托生みたいなものだ。引きこむなど造作もない」


結局よく分からないが、まあ旦那様に会えたからなんだっていいか。だって、こんなに近くに貴方がいる。それだけで、満たされる心臓がある。


「この家は旦那様が作り出したんですか?」
「ああ、お前も目覚めた時は知ってる場所がいいだろう」
「はい、まあ……でも、」


ちゅ、触れるだけのキス。


「旦那様がいるなら何処だって良いです」


旦那様はニヤリと笑って私を押し倒した。

お礼+蛇足→←思い出を大切に。



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設定タグ:呪術廻戦 , 両面宿儺   
作品ジャンル:恋愛
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ゆうちゃんンンン(プロフ) - コメント失礼します。この作品を作っていただきありがとうございます。大好きですもし良ければなのですが、前世の記憶が無いバージョン?を作って欲しいなと思っています。自分、悠仁と宿儺推しでして、図々しいと思われるかもしれませんが気が向いたら作ってほしいです (8月2日 13時) (レス) @page50 id: f5df7aa05f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 大好きですぅぅ (2022年1月25日 1時) (レス) @page50 id: 639ef9d5fe (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - タイトルがモロ好みで作品も最高でした!最後の蛇足も良かったです! (2021年6月22日 20時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
西 - たまに出る夢主ちゃんのツッコミっぽい口調がとてもおもしろいです。。ありがとうございます。 (2021年3月29日 2時) (レス) id: a86aefda0e (このIDを非表示/違反報告)
宿儺 - 宿儺マジ神かよ♪素敵 (2021年1月20日 19時) (レス) id: c0f52421e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年12月19日 15時

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