いつもどおり ページ46
綺麗な女性、家入さんは両手にゴム手袋をはめた。そろそろ悠仁はバラされるらしい。
「欲しい箇所の骨とかある?」
「んー、無いですね」
ちょっと意外そうに五条がこちらを見る。旦那様ならともかく悠仁だしな…人は死んだらそれで終わりだ。天国も地獄もこの世にはきっとない。あるかも知れないが、まあどっちだって構わない。骨を持っていたところであの世で会えるわけはないのだ。
最後に悠仁の手を握る。温度を感じない手のひらを温めるように両手で握った。ちゅ、手の甲に短いキス。もう私を暖めてくれた体温はどこにもない。溢れた涙が悠仁の手を濡らす。泣くのはこれで最後。
さよなら、悠仁。大好き。
「俺も」
ぎゅ、手が握り返された。夢か、幻か。もしかしたら悠仁が死んだ事が幻なのかもしれないと思うほど、悠仁の笑顔が目に映る。悠仁の手が私を包む。直に伝わる心音は、あの日聞いた音。悠仁の音。
「オワッ、フルチンじゃん」
目が飛び出さんとするほど驚く伊地知さん、笑う五条。夢でも幻でもない。悠仁は生き返った。多分、旦那様の力で。旦那様が生き返らせた。
「おかえり、悠仁」
「オッス!ただいま」
ハイタッチ。男の友情みたいなもんだろう。じゃあ、私も言わなければ。私たちを繋ぐのは親愛だから、友情に遅れをとるわけにはいかない。ぎゅ、今度は私が悠仁を抱きしめる。抱きしめ返してくれた腕は暖かい。
「おかえり悠仁」
「ただいまA」
「……君たち、良いところに悪いけど片方裸だからね」
悠仁の裸に興奮する事はないから安心して欲しい。私は旦那様一筋だ。そう言ったらそういう問題じゃないと言われた。解せぬ。
・
「みんなびっくりするかなー」
「びっくりどころじゃないと思うけど。なんせ、悠仁死んでたし」
談笑、さっきまで死んでたとは思えないほどいつもどおり。
「そー言えば、旦那様に生き返らせてもらったの?」
「おう。でも、んー、なんか話した気がするけど思い出せねー」
「まあ、無理に思い出さなくてもいんじゃない?」
頭を抱える悠仁を嗜める。生き返ったばっかりなのに本当元気だな。
「でも、死んだ人間を生き返らせるなんてさすが旦那様だね」
「アイツが俺の心臓を取ったから死んだようなもんだけどな」
「お茶目な人なんだよ」
「お茶目で済む話!?」
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ゆうちゃんンンン(プロフ) - コメント失礼します。この作品を作っていただきありがとうございます。大好きですもし良ければなのですが、前世の記憶が無いバージョン?を作って欲しいなと思っています。自分、悠仁と宿儺推しでして、図々しいと思われるかもしれませんが気が向いたら作ってほしいです (8月2日 13時) (レス) @page50 id: f5df7aa05f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 大好きですぅぅ (2022年1月25日 1時) (レス) @page50 id: 639ef9d5fe (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - タイトルがモロ好みで作品も最高でした!最後の蛇足も良かったです! (2021年6月22日 20時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
西 - たまに出る夢主ちゃんのツッコミっぽい口調がとてもおもしろいです。。ありがとうございます。 (2021年3月29日 2時) (レス) id: a86aefda0e (このIDを非表示/違反報告)
宿儺 - 宿儺マジ神かよ♪素敵 (2021年1月20日 19時) (レス) id: c0f52421e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年12月19日 15時