愛の鎖に繋がれたまま ページ25
心臓が歓喜の音をあげる。迷わず体は旦那様に飛びついた。受け止めて抱きしめ返してくれる腕は涙が出そうなくらいに優しい。服越しに伝わる心音が、心地いい。
ああ、どうしよう。幸せすぎて涙が出てきた。私、ずっと貴方に抱きしめられたかったんです。ずっとこうやって貴方の体温に浸ってたかったんです。私、貴方を愛してるんです。
「泣いているのか」
旦那様がそっと私の涙を拭う。拭った涙を舐めて甘いな、なんて呟いた。
「当たり前ですよ。嬉し涙なんですから」
ぎゅ、離れてしまわないようにキツく旦那様を抱きしめる腕を強めた。旦那様も応えるように力を強める。胸に顔を埋めて旦那様の香りで胸を満たす。いや、これは悠仁の匂いだな。
「お前は匂いを嗅ぐのが好きだな」
「な、なんでバレてるんですか!?」
「何年お前と一緒にいたと思っている。しかし今は小僧の体だ。小僧の匂いしかせんだろう」
「ごもっともで」
旦那様はお返しと言わんばかりに私の髪を一房掬ってちゅ、短いキスをした。
「どこでも甘いな」
「それは、嬉しい限りです」
自分からするは良いが、されると照れる。顔を赤くした私に気を良くした旦那様は上機嫌に笑った。
「お前は本当に俺が好きだな」
「……何年側にいたと思ってるんですか。そんな事出会った頃から知ってるでしょう」
「そうだな。あの時は気でも狂ったかと思ったが」
うう、あんな気持ちになるの初めてだったんですよ。あの時の自分の顔が不細工になっていなかったことを祈る。
「今も昔もお前だけだ。俺を好きなど言ったのは」
「本当!」
嬉しい。私が死んだ後、誰かか旦那様に言い寄っていたら死人が勝てるわけがなかった。生きてる人間に勝るものなんてないから。旦那様の瞳が別の誰かに向いたなら私は嫉妬で狂ってしまう。私だけの人だったのにって。
「過去も今もこれからも旦那様の心は私だけのものですか?」
「…千年以上だ。お前が死んで、俺が一人になって多くの年月が過ぎた。だが、何百年経っても俺はお前が側にいないことに慣れなかった」
俺の魂はお前に縛りつけられたままだった。
「もう、俺から離れるな。俺がお前にそうであったようにお前が俺以外を愛するのは許さん」
切望する様に出された声に胸が締め付けられる。堪らなくなって旦那様の瞳を見つめた。
「愛しております」
「そんな事千年も前から知っている」
俺も、永遠に愛している。
重ねられた唇はどこまでも優しかった。
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ゆうちゃんンンン(プロフ) - コメント失礼します。この作品を作っていただきありがとうございます。大好きですもし良ければなのですが、前世の記憶が無いバージョン?を作って欲しいなと思っています。自分、悠仁と宿儺推しでして、図々しいと思われるかもしれませんが気が向いたら作ってほしいです (8月2日 13時) (レス) @page50 id: f5df7aa05f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 大好きですぅぅ (2022年1月25日 1時) (レス) @page50 id: 639ef9d5fe (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - タイトルがモロ好みで作品も最高でした!最後の蛇足も良かったです! (2021年6月22日 20時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
西 - たまに出る夢主ちゃんのツッコミっぽい口調がとてもおもしろいです。。ありがとうございます。 (2021年3月29日 2時) (レス) id: a86aefda0e (このIDを非表示/違反報告)
宿儺 - 宿儺マジ神かよ♪素敵 (2021年1月20日 19時) (レス) id: c0f52421e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年12月19日 15時