八十四話 ページ41
『お前に殺された後私は隣村に住む楓に拾われた。そこで数週間衣食住を世話になった。今世は違うようだが、楓の前世は五条家でな。しかもお師匠の妹君だったらしい』
「彼奴の?ケヒッ随分とまぁ世は狭いものだな」
『まぁらそもそも呪術界そのものが狭いからな。仕方あるまい』
「わからんな。小娘一人庇っただけで呪われる貴様か?」
『そればっかりは言い返せんな。油断したとしか言えん』
つい意識が楓に集中してしまったと言っても、宿儺は顔を顰めるだけだろうが、人と思う気持ちは持ち合わせてて欲しいと思うけれどまぁそれもお互い様か。
年数を重ねるごとに人への関心がなくなっている。
虎杖くん達と関わることで感覚が戻ってきたとはいえここ数百年自分が人間であるという自覚が薄れていた。
『虎杖くん達には感謝だな』
まぁ千年も生きてたら無理ないか。
宿儺の方を見ればジト目でこちらを見ている。考え事長すぎたか。
「呪霊を祓ったのは俺だぞ。小僧では無い」
『宿儺お前...まさか嫉妬か!?ワハハ!!愛い奴め!!あぁそうさな!お前が祓ってくれたのだよな!!偉いぞ〜私の可愛い宿儺!!』
宿儺は私の先程の言葉を呪霊退治の方で捉えた様だった。全く相も変わらず可愛い奴め。虎杖君に手柄を取られるのがよっぽど嫌だったか。いやもしや私に褒められたかったのか?この子は昔から褒めるとすぐ鼻を伸ばしていたからなぁ。
ニヤニヤと宿儺のことを見ると少々顔が赤く染っている。恥ずかしいのか怒っているのか....いや両方か。
「はぁ!?何を抜かしているんだ貴様は!!ついに頭が沸いたか!!」
『ハハハ!!千年経ってもその照れ隠しは直らんな〜!』
「ええいやめろ!!頭を撫でるな!!」
グリグリと頭を撫でくり回すが、術式を使わないあたり本当に嫌がってはいないのが見て取れる。
我が愚弟ながらわかりやすくて可愛い。やはり千年経とうと姉上のことは大好きそうでなに、より......
....大好き、か。宿儺は私の事を本当にまだ好いていてくれているのだろうか。最初に裏切ったのは私だ。本当ならもう口も聞いてはくれぬどころか殺意が芽生えても私は文句が言えぬ。
つい宿儺を撫でる手を止めてしまい、宿儺も疑問を感じたのかこちらに目を向ける。すると宿儺は鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をした。
困ったな。そんなに酷い顔になってしまっているだろうか。だが一度頭に浮かんでしまったこの思いを消すのは今の私には少々難しかった。
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雪華(プロフ) - 愛実さん» 愛実様 お久しぶりです。まさかまだこの作品を待ち望んで下さる方がいらっしゃるとは...。本当に有難い限りです。本日ようやく完結いたしました!宿儺の姉シリーズはこれからも続きますが、気長に完結をお待ち頂けると幸いです。コメントありがとうございました。 (8月16日 16時) (レス) id: 7ea62759ab (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めっっちゃ続き待ってました更新ありがとうございます…!!!作者様のペースで、更新頑張ってください!続き楽しみに待ってます😊 (8月12日 0時) (レス) id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
YUKIKA(プロフ) - 続き待ってます (2022年12月15日 12時) (レス) @page24 id: 342256db66 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - お久しぶりです…。作者様が更新できるときまで待ってます。また更新を再開してくださる日を楽しみにしてます…! (2022年2月23日 19時) (レス) id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
雪華(プロフ) - 棘推しさん» わー!!ほんとだ!1箇所除いて全部間違えてた😂教えていただありがとうございます!!ただいま修正させて頂きました!応援ありがとうございます! (2022年1月21日 22時) (レス) id: b1173b4699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪華 | 作成日時:2021年7月22日 15時