七十八話 ページ35
「ここだな。雑魚風情が舐めた真似をしおって、さっさと姿を現せ。時間の無駄だ」
宿儺は誰もいない病室で語りかけるが、シンと静まり返ったまま何も反応がない。いい加減我慢の限界を感じもうここ一帯を燃やし尽くしてしまおうかと考えていた時だった。
『宿儺、宿儺』
『貴方は私が守る。私のたった一人の愚弟』
『私の大事な大事な愚弟』
『...宿儺、愛してるぞ』
あぁ忌々しい。これはいつかの記憶。これはもう戻ることの無い過去。この声を聞けば脳内に勝手に表情が思い浮かぶほど見たあの屈託のない笑顔。
俺が唯一信じ愛を返した女の声だった。
「だがそれは貴様ではない。貴様が
あぁ憎たらしい。
姉上に裏切られたあの日、己は誓ったのだ。
もう人を信じぬと。例え姉上だろうともうただの一人も信用してなるものかと。
なのに彼奴に会うとどうしようもなく心が落ち着いてしまう。彼奴の笑顔を見るとつい思考が鈍ってしまう。
この俺に未来永劫解けぬ
腹立たしく
憎たらしく
恨めしく
愛おしかった。
「二度と姉上の真似などさせぬ。畜生風情が」
キンッと己の周囲を駆け回っていたAの偽物を切り倒し、一人だけ残ったソレに近づく。
『す、くな...姉上を殺すの...?』
「残念だったな虫けら。姉上は俺に殺される時命乞いなどせず笑ったぞ」
グシャッと一度A踏みつければ、形が崩れ呪霊の姿に戻っていく。そうしてようやく宿儺は笑みを見せた。
「虫は虫らしく、惨めに死ね」
次の瞬間には呪霊の体は微塵切りになっていた。
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その後は案外サクサク進んで行った。
宿儺に置いていかれた釘崎は伏黒を探し動き回っていたが、伏黒を抱えた両面宿儺が目の前に現れ動くなと言っただろうが。と一言愚痴を貰うと、虎杖と入れ替わった。
釘崎は動くなとは言われてないわよ!!と一言虎杖に向かって物申すが俺じゃないから!と虎杖は釘崎を窘めた。
伏黒に外傷はなく、これでとりあえず呪霊は祓えたはずだから大丈夫だろうと補助監督の元へ戻ることとなり病院内を歩いていると一条から電話がかかってきた。
要件は、Aが目を覚ましたとのことだった。
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雪華(プロフ) - 愛実さん» 愛実様 お久しぶりです。まさかまだこの作品を待ち望んで下さる方がいらっしゃるとは...。本当に有難い限りです。本日ようやく完結いたしました!宿儺の姉シリーズはこれからも続きますが、気長に完結をお待ち頂けると幸いです。コメントありがとうございました。 (8月16日 16時) (レス) id: 7ea62759ab (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めっっちゃ続き待ってました更新ありがとうございます…!!!作者様のペースで、更新頑張ってください!続き楽しみに待ってます😊 (8月12日 0時) (レス) id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
YUKIKA(プロフ) - 続き待ってます (2022年12月15日 12時) (レス) @page24 id: 342256db66 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - お久しぶりです…。作者様が更新できるときまで待ってます。また更新を再開してくださる日を楽しみにしてます…! (2022年2月23日 19時) (レス) id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
雪華(プロフ) - 棘推しさん» わー!!ほんとだ!1箇所除いて全部間違えてた😂教えていただありがとうございます!!ただいま修正させて頂きました!応援ありがとうございます! (2022年1月21日 22時) (レス) id: b1173b4699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪華 | 作成日時:2021年7月22日 15時