七十六話 ページ33
「誰だこいつ!?」
「Aさん...?にしては小さくね!?」
『ここはどこだと聞いている。というかなんだその珍妙な格好は』
突然現れたその子供はまるで本当に洋服を見たことがないような顔つきで3人のことを怪しく見ていた。
意思疎通が一応は通じそうであると判断した虎杖は女の子の近くへと歩みよりあやす様に喋り始めた。
「えーと、これは学生服なんだけど...というか君どこから来たの?」
「そうよ、こんな廃病院で1人なんて危ないわよ」
虎杖と釘崎はおそらくこの子は迷子であると判断したのだろう。優しく声をかけるが女の子はそれでも警戒を解こうとはしない様子であった。
『はいびょういん...?なんだそれは。京にそんな場所はないぞ。揶揄っているのか?』
「えっ京って京都のこと?ここ東京だよ?もしかして迷子?」
顔を歪ませまるで軽蔑しているかのような顔で虎杖のことを睨む彼女に少々驚きはするが、ここは呪霊がいるかもしれない危険な場所と考えると虎杖はその子を放置する訳にはいかなかった。
「おい虎杖あまり不用意に近寄るなッ!!」
「伏黒落ち着けってこんな小さい子が何かしてくる訳ねぇだろ?」
しかし伏黒だけは違った。歴が違うからか、或いは彼の性分からか。情報のない女の子を簡単には信用できなかった。
いや、伏黒はもっと別の理由で女の子を危険視していた。
秘めてはいるが、どう考えても2級術師並の力を持っていると確信した為である。
『ふふっおニーサンゃさシいね?』
「「「!!」」」
伏黒の判断は正しかった。その子どもはニヤリと不気味な笑みを浮かべると先程までの流暢な日本語はどこへ行ったのかと思えるほど、カタコトな喋りになり一瞬のうちに姿を眩ませた。
これにより3人とも即座に周囲を警戒する。
呪霊の仕業としか考えらない。ついに呪霊が現れたと3人同時に感じ取った。
彼女が何者なのか。なぜAに似ているのか。彼女は呪霊なのか。3人それぞれ思考を巡らせながら周囲を警戒していると、悠仁の頬がグパッと動いた。
「小僧。体を貸せ」
「はぁ!?なんでだよ!誰がテメェなんかに!!」
急に何を言うのかと思えば、両面宿儺の提案をこの状況で飲み込めるはずがなかった。
隣には伏黒、野薔薇と2人もいるのだ。この場で変わればこの2人に手を出すなど容易に想像できた。
しかし、次の言葉で3人とも息を呑むこととなる。
「あれはAの幼き頃の姿だ」
「「「!!」」」
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雪華(プロフ) - 愛実さん» 愛実様 お久しぶりです。まさかまだこの作品を待ち望んで下さる方がいらっしゃるとは...。本当に有難い限りです。本日ようやく完結いたしました!宿儺の姉シリーズはこれからも続きますが、気長に完結をお待ち頂けると幸いです。コメントありがとうございました。 (8月16日 16時) (レス) id: 7ea62759ab (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めっっちゃ続き待ってました更新ありがとうございます…!!!作者様のペースで、更新頑張ってください!続き楽しみに待ってます😊 (8月12日 0時) (レス) id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
YUKIKA(プロフ) - 続き待ってます (2022年12月15日 12時) (レス) @page24 id: 342256db66 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - お久しぶりです…。作者様が更新できるときまで待ってます。また更新を再開してくださる日を楽しみにしてます…! (2022年2月23日 19時) (レス) id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
雪華(プロフ) - 棘推しさん» わー!!ほんとだ!1箇所除いて全部間違えてた😂教えていただありがとうございます!!ただいま修正させて頂きました!応援ありがとうございます! (2022年1月21日 22時) (レス) id: b1173b4699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪華 | 作成日時:2021年7月22日 15時