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読めない表情 ページ28

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『伊野尾ちゃん、お待たせ。』


寒さに耐えるようにマフラーに埋めた顔を上げれば、サングラスで顔を隠した山田。

サングラスがアイドルオーラを増加させてて、余計に目立っているのに気付いてないのかな。


ごめん、寒かったでしょってスマートに手を握ってきて。
携帯返してくれるだけじゃないのかと思ったけど、促されるまま歩き出した。


『携帯さ、うっかり家に置いてきちゃって。申し訳ないんだけど来てもらってもいい?』

「お前聞きながら歩いてるし。どーせ俺が嫌って言っても連れてくだろ。」

『はは、それもそうだね。』


ちょっと悪態をついたのに、返事は彼らしくないもので。
忘れたやつが偉そうに!とか言ってくると思ったんだけどな。

前を歩く彼の顔を覗けば、ますます読めない表情。

その後も当たり障りのない会話だけして到着した山田のマンションは、見上げた首が痛くなるほど立派なものだった。







「いや、悪いしいいって。携帯受け取りに来ただけだから!」

『でも光くんが伊野尾ちゃんだいぶ酔ってるって言ってたし心配だよ。』

「飲めるわけねぇし!お前待ってる間に覚めたわ!」


只今、玄関のドアで攻防すること五分。
外で待ってようとした俺を部屋に入れようと、ぐいぐい背中を押してくる。


チビのくせに力強いんだよこいつ…



「だーもう分かった!じゃあ水一杯貰っていくから。それでいいんでしょ!」


仕方ないなぁ…



ようやく折れた俺が中に入れば、突然腕を掴まれて引っ張られた。


「っ!いって…ちょ、山田!痛いって!」


手首を握る力が物凄く強い。
精一杯抵抗をしても、どうやら彼には関係ないみたいで。

そのままリビングに連れてかれ、見覚えのあるソファに投げ出される。







『伊野尾ちゃん、ごめん。』



悲しそうに揺らぐ彼の瞳が俺を捉えた。

重なる姿→←確信に似た、希望



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とりてん(プロフ) - (名前)さん» 間違えてパスをつけてしまったので外しました!すいません。 (2018年4月10日 23時) (レス) id: 3eeda2cba1 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 2のパスワード教えてください。 (2018年4月10日 23時) (レス) id: 1240e3c3c3 (このIDを非表示/違反報告)
とりてん(プロフ) - natsuki0808さん» まさか泣いていただけるとは思ってもおらず…達成感でいっぱいです。ありがとうございました! (2018年4月10日 22時) (レス) id: 3eeda2cba1 (このIDを非表示/違反報告)
とりてん(プロフ) - ゆうみさん» そう言っていただけると書く方も楽しくできます!最後まで読んでくださりありがとうございました! (2018年4月10日 22時) (レス) id: 3eeda2cba1 (このIDを非表示/違反報告)
とりてん(プロフ) - 遥華さん» 更新を楽しみに待ってくださりありがとうございました!その言葉がとても嬉しいです。次の作品も楽しみにしてもらえれば幸いです。 (2018年4月10日 22時) (レス) id: 3eeda2cba1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とりてん | 作成日時:2018年3月20日 0時

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