午前0時のランドリー（arin）

小さい彼はなんでもお見通し ページ23

あの歌番組の翌日からネットニュースはいのちゃんの話題で持ちきりだ。


''ついに姿を現した！伊野尾慧ってどんな人？''

''17歳の2人、雑誌出演はあるのか？！''


様々な見出しをつけて語られるその内容は、今後の活動を期待するものばかり。
机に突っ伏しながら眺めていると、知念に携帯を取り上げられた。


『大貴がニュース見るとか珍し…ってエンタメじゃん。』

「うるせ。」

『なにその適当な返し。この話題ならSNSもすごいことなってるよ。』


返ってきた携帯の画面には、my girlのハッシュタグが添えられた2人への賞賛が並ぶ。
おまけに手を繋いで登場した画像まである。


「…そんなにメドレーよかった？」


真っ先に目に付いた、'' 山田くんと伊野尾くんのハモリ最高！テレビで観れるなんて夢みたい！''と書かれたコメント。

CDで聞いていたあの声がテレビで流れた。
ファンにとってはすごく嬉しいことなんだ。

それにひきかえ俺は、あの後不貞寝をしてしまい歌っている姿を見逃してた。


『うん、結構よかったよ。』

「録画してあったり…しちゃう？」


ダビングしてもらおうと顔色を伺いながら聞けば、眉間にしわを寄せる知念。


『…なんか隠してるでしょ。』

「え、」

『サッカーとゲームにしか興味なかったのにいきなりどうしたのさ。それに日曜日から様子おかしいし。』


上手い言い逃れが思いつかなくて口をはくはくさせていると、知念がメールを打ち出した。


『今日の練習、休むって宏太に伝えたから。』

「なっ、俺まだ話すなんて、」

『ほらやっぱなんかあるじゃん。』


図星を突かれてひと睨みすれば、したり顔をしていて。
歌番組のダビングを条件に知念を連れてあの駄菓子屋へ向かった。

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