午前0時のランドリー（arin）

どっちの笑顔？ ページ3

『有岡先輩…すごいいい匂いしますね。』


今日の練習は紅白戦。
休憩中の俺に近づいてそう言ったのは、一年マネージャーの子だった。


「まじ？そんな匂うかな。」

『はい！なんの香りでしょう…甘いんですけどしつこくないって言うか。わたし、すごい好きです』


照れたように浮かべる彼女の笑顔がくすぐったくて、鼻の下をこするクセが出てしまった。






「〜〜ってことがあってよぉ！俺、惚れられちゃったかなあ。」


その後の紅白戦は絶好調で、見事勝利を収めた俺は部員の裕翔と知念を引き連れて帰路につく。


『もー単純なんだよ大ちゃんは。ちょーと褒められただけで調子乗るんだから。』

『でも、大貴のユニフォームいい匂いしたかも。』

「だろ？！自分じゃわかんないんだけど、その子がいい匂いですね、好きですって！」


同じ話を繰り返す俺を冷たい目で見る2人。
だって可愛かったんだよ、しょうがねえじゃん。


『そんなに言うけどどのマネージャー？一年生なんて何人いると思ってんの。』

「え？」

『あー無理無理。大貴馬鹿だから名前覚えられないもん。』


確かに！と言ってクツクツ笑う2人に腹が立って、マネージャーの笑顔を思い出そうとすると浮かんでくるのはあの男の顔で。


あれ、さっきから思い出してたのはどっちの顔だったんだ？！

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