馬鹿みたいに、好き。

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Side of You





瑞稀に怒鳴られたことなんて


ほとんどなかった。


怒鳴ったくせに彼の表情は悲しそうで


今にも泣き出しそうな唇の震えように


ズキッと胸が痛む。


ちゃんと、聞いてみれば良かった。


その時初めて頭が冷えた気がした。





『………A。なんで出てったの？』


「………………」


『言ってくれなきゃわかんない』


「莉真さん、…」


『え？莉真？』


「っ………莉真さんのこと、好きなの？」


『は、…？』





家に着くなり問いかけてきた瑞稀に


恐る恐る聞いてみる。


案の定、少しだけ声色を変えて


瑞稀は眉を潜める。


1度開いた口はなかなか塞がらないもので。





「朝…っ、通知見えちゃったの。


奥さんにバレてないですかって何？


瑞稀なにか私に隠してる…？」


『それは…っ』


「最近いっつも上の空だった。


瑞稀、もう私のこと嫌いにな………っ？！」




全部全部言い出そうとすると涙が止まらない。


泣きながら声を震わせる私に


彼は続きを言わせないかのように唇を塞いだ。


後頭部を押さえられて離れられなくて


いきなりされたから息が苦しい。


呼吸をしようと離れてもまた噛みつかれて


何度も何度も重なる。




『っは、………絶対言うな』


「は…っ、ぁ…………え？」


『俺がAのこと嫌いになるとか


そんな馬鹿みたいなこともう二度と言うな』


「っ…そんなの、」


『………っ、好きだよ。


もうAがいないの考えられないくらい


好きって、いつも言ってんじゃん』




今まで強気だったのに


急に脆くなった瑞稀は、涙が零れるのを


我慢するかのように唇を震わせる。


そしてぎゅっと私を強く抱き寄せて


" でも、勘違いさせてごめん " って


何度も何度も謝った。






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