馬鹿みたいに、好き。

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Side of Mizuki





『……………A？』




朝、目が覚めると静まり返った部屋。


リビングに移動してもAはいなくて


外で洗濯してる訳でもない。


そもそも、俺が起きてきたら


絶対どこにいてもおはようって言ってくれてたのに


今日はどこからも声が聞こえない。





『どこ行って……』





見てみると携帯と財布だけ無くなってて


流石に嫌な予感。


電話掛けてみたけど全然出てくれないし


もちろんメッセージにも既読すらつかない。


…………A1人でどっかに行って


なにかあったらどうしよう。


そう思ったら不安で仕方なくて。




『っ、……A』




家を飛び出してまずは近所を回るけど


全然見当たらない。


なにか心当たりがないか必死に考えて


ひとつハッとする場所が思い浮かんだ。





『っ、………いた』




初めてケンカした時にも彼女を見つけた場所。


ただの公園だけどA曰く


俺のことを好きになった場所だって言ってた。


そこのベンチに座り込んで


ぼーっと周りを眺めてるみたいで


なんだか目に力がない。




『おい、…』


「………みず、」


『勝手にどっか行くな！！！心配すんだろ！！！』




ゆらゆら揺れる彼女の瞳から


次々と零れてくる涙。


泣かせたことにどくん、と心臓が脈打つ。


理由が分からなくてやるせない気持ちを抱えながら


とにかく彼女の腕を取って家へと戻る。


その間、Aは何にも言わなかった。







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