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刑事さんと鍵開け師の協力を貰って、外に停まっていた例の車の鍵を開けて貰った。

勝手にピッキングしたら拙いからな。
緊急時を除き。

車の中の見える部分は一通り探すが、当然携帯電話は見つからない。
だとすれば、此処はどうだろうか。

車の座面を引っ張ると、僅かに表面の生地が動いた。
良く見ると、生地のつなぎ目に切れ目が入っている。

「・・・・・・当たりか」

呟きながら手をそこに入れると、硬い物に触れる。
引っ張り出すと、想像通りアルミホイルで隙間なく覆われた携帯電話が入っていた。

それにしても、随分と無理に携帯電話を押し込んだな。
ここまでするとは、相当発見を遅らせたかったのだろう。
アルミホイルを剥がして警察官に見せ、被害者の持ち物かを確認する。

するとやはりその通りだそうで、鑑識が慌てて証拠品として回収してくれた。

だが、まだ何か隠されている可能性が高い。
エアコンフィルターが付いている部分など、様々な場所を調べ、次に車のドアの内張りも外してみる。

「これもか・・・・・・」

その内側には血の付いた大量のタオルとビニールシートがあった。
頭の中で少しずつ仮説が組み上がっていく。

だがまだ口に出すのは止めて、再び鑑識に証拠品として保存してもらう。
その間に車の近くに草むらがあった為、証拠は無いかと探ってみると案の定落ちていた。
針金だ。

「これも頼みます」

鑑識は、その針金もしっかりと回収してくれた。
案外次々に証拠が出てきたが、最悪な仮説が組み上がっていく状況は、唯々気分が悪かった。

暫くして少女の遺体の前に戻ってくると、しゃがんで再度躰を確認する。

少女の躰はこの場所で正面から撃たれた。
貫通した銃弾が少女の後方の床に痕を付けていて、血液は此処に残っている事が証拠。

だが、だからといって此処で亡くなったとは限らない。

「この銃の音が銃声だとは誰も思わなかったんですよね?」

資料を読みながら近くにいた警察官に聞く。

「えぇ。人も少なかったみたいですし、何か物が落ちた音だと思ったらしいです」
「そうですか・・・・・・成程な」

パズルのピースのようにばらばらの情報を組み合わせた結果、綺麗に嵌った。
当然といえば当然だが、一般人が犯人である前提で進めていた事がややこしくなる原因だったのだ。

「何か分かったんですか?」

私の独り言を耳が拾ったらしく、そばに居た若い警察官から尋ねられ、成り行き的に辿り着いてしまった事について話す事になった。

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風と衣(プロフ) - もなかさん» もなか様ありがとうございます!面白いと言って貰えて今とてもニヤニヤしております(笑)今回のオリジナル展開でも中原さんの活躍が出てきますので、どうぞお待ちください! (2022年9月18日 20時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
もなか - 作品拝啓させていただきました!とても面白かったです!私は中原さん推しなので夢主ちゃんとの絡みの話はニヤニヤしちゃいました(笑)更新楽しみにしています (2022年9月18日 17時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年9月7日 0時

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