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その悪意に溢れた状況に眉を寄せて目を瞑る。
そして幾分(いくぶん)か心を落ち着けると、再び遺体に目をやった。

心臓が嫌な音を立てて騒がしい。
悪い予感がする。

まず不思議なのは、遺体は争った形跡もなく、綺麗な儘残っている事だ。
だからこそ目に付いたのは、胸に空いた銃弾による穴。

しゃがんで詳しく確認すると、ガンパウダー(火薬)の燃えカスが皮膚に残っていた。
という事は、かなり至近距離から銃で撃たれている。

誘拐されて脅されたから動けなかったのか、近しい仲の人間から唐突に銃を突きつけられたのか、まだまだ考えられる可能性は沢山あるな。

次に、靴の裏を見てみる。
土に混ざって、靴の溝に埋まったイチョウの葉があった。
一応、覚えておこう。

軽く遺体の観察を終えて部屋を改めて見回すと、此処は物置の代わりとしてよく使われるのか、物がごちゃごちゃと多い。
だが物を退けてみても、不思議な事に人の通り道など見つからなかった。

「はぁ」

少しでも情報が欲しい。
そう云えば。
後ろを振り向いて、顰めっ面をしている刑事さんに問いかける。

「この子、14歳なんだ——失礼。なんですよね。携帯電話は持たせていましたか?」

「あぁ、持たせていたそうだ。だが、行方が分からなくなった後、GPSも確認してみたらしいが、途中でパタリと途切れていたみたいだな。その持たせていた携帯も被害者の所持品には入っていなかった」

「成程。ありがとうございます」

答えてくれた刑事さんにお辞儀し、新たに得た情報について思考を巡らす。

・・・・・・GPSの追跡が途絶えた、か。

そういえば、携帯電話は金属の類で覆うと電波が届かなくなるのだという話がある。

やり易いのはアルミホイルだ。
少しでも隙間があれば電波が通っていくが、完全に覆えば遮ることが出来る。

わざわざ電波を妨害する装置を使うよりも、ずっと手軽だ。

そして何故この話が真っ先に浮かんだかと云うと、私は此処に来た際に一台の車のタイヤの下にきらりと光る物が落ちていたのを見ていたから。

風で飛ばされたのかも知れない、たまたまかも知れない。
小さな事だがそれでも大事な手がかりだ。
結局それが事件の解決へ導いてくれる。

「刑事さん、頼みがあるんですが——」

・→←たとえ間違いだとしても



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風と衣(プロフ) - もなかさん» もなか様ありがとうございます!面白いと言って貰えて今とてもニヤニヤしております(笑)今回のオリジナル展開でも中原さんの活躍が出てきますので、どうぞお待ちください! (2022年9月18日 20時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
もなか - 作品拝啓させていただきました!とても面白かったです!私は中原さん推しなので夢主ちゃんとの絡みの話はニヤニヤしちゃいました(笑)更新楽しみにしています (2022年9月18日 17時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年9月7日 0時

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