・(太宰さん視点) ページ33
あぁ、やはりこの子は真っ直ぐで強い。
影の残っていた琥珀色の瞳は、澄んだ宝石のような輝きを宿していた。
その事が少し淋しくも、根っからの光の気質に眩しさと目を逸らせない不思議な魅力を感じる。
磨けば磨くほど輝きを放ち、その芯には一点の曇りもない。
「･･････綺麗だね、君は」
これを、そう云わずに何と云うのだ。
Aちゃんは言葉に詰まり、視線を彷徨わせている。
返すべき言葉が見付からずに、戸惑いながらも必死に何かを云おうと口を開いたり閉じたりしている様子は、やはり可愛らしかった。
「から、揶揄わないでくれないか」
「本心なのだけど」
「･･････っ、それすら本当なのか分からないんだが」
「あれ、信頼してくれてるんじゃないのかい？」
Aちゃんは一瞬悔しそうにしたかと思うと、Aちゃんにしては乱雑に私の髪を撫でる。
これはこれで案外心地良い。
「それとこれとは違うな。こういう事云うの慣れてるだろう、太宰さんは」
「ちぇっ」
「まぁだが、ちゃんと信じてるし感謝してる。ありがとう、あの時、私を拾ってくれて」
Aちゃんは、それこそ周りがパッと華やぐような笑顔を見せた。
間違いなく初めて、Aちゃんの満面の笑みというものを見たのだ。
Aちゃんにほぼ上の空で返事をしながら、今の表情を目に焼きつける。
すぐに
あぁ、Aちゃんの今の笑顔も、これから見られる人が増えていくのだろうか。
どんな表情も、見られるのが私だけなら良かったのに。
奥には嫉妬や執着心が渦巻いている。
「･･････まぁ、一度休み給え。Aちゃん、君、足を怪我してるだろう」
そう云うと、Aちゃんはぱちりと目を瞬かせて、やがて「良く分かるな」と呟いた。
その目を手で塞いで暫く待ってみると、Aちゃんは疲れて眠ってしまったようで、小さな吐息が規則的に洩れているのが分かる。
「やっぱり——好きだよ」
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風と衣(プロフ) - もなかさん» もなか様ありがとうございます！面白いと言って貰えて今とてもニヤニヤしております(笑)今回のオリジナル展開でも中原さんの活躍が出てきますので、どうぞお待ちください！ (2022年9月18日 20時) (
レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
もなか - 作品拝啓させていただきました！とても面白かったです！私は中原さん推しなので夢主ちゃんとの絡みの話はニヤニヤしちゃいました（笑）更新楽しみにしています (2022年9月18日 17時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風と衣 | 作成日時：2022年9月7日 0時
