・(中也さん視点) ページ21
「もうお昼だったのか」
「さては昨日寝てねェだろ」
Aの普段よりも眠たげで気の抜けた声に、そう予想して問い掛けると、Aは唸りながら呟く。
「確かに寝た記憶はないな」
「今からでも寝とけよ」
取り敢えず、ぼんやりとしているAは置いといて冷蔵庫を開いてみるが、何かを食べた形跡もなく来た時の
これは不健康まっしぐらだ。
「飯食えって云ったよなァ」
「･･････すまない、忘れていた。
もしかしたらAは、何かに集中し過ぎると他の事への注意が全く向かなくなるのだろうか。
普段は冷静に周りを見ているだけに、かなり意外な一面であった。
「飯作るから待ってろ」
「ありがとう」
Aは一つ
その儘だと躰が痛くなる為、姫抱きにして寝台に運ぶと優しく寝かせる。
そして寝る時に痛いだろうと髪を束ねているAの瞳の色をしたリボンを解くと、さらりと藍色の髪がシーツの上に広がった。
そういえば最近はよくこのリボンを付けているが、出会った時は何も付けていなかった。
Aの性格だと、短刀の手入れなどにお金をかけがちで自分で買うとは思えない為、恐らく贈り物だ。
これが男からでなければ良い、と
僅かに顔を出した感情に蓋をして、静かにリボンを枕元に置くと、Aに毛布を掛けて部屋から出る。
眠っている間に昼飯を作る仕事もあるのだ。
もやもやとしたものも、作業をしていればいずれ薄れるだろう。
──────
「何もかもありがとう。おかげで眠れた」
「はよ。もう寝るのも食べんのも忘れんなよ」
「善処する」
ご飯が出来そうなタイミングでAを起こすと、暫くしていつも通りに髪を纏めた状態で部屋から出てきた。
白米をよそいでいる俺に箸のある場所を俺に聞きながら、Aは一緒に遅めの昼飯の準備を始める。
付き合って同棲したらどうなるか簡単に想像が出来て、胸がそわそわとむず痒い。
ちらりとAに視線を向けると、丁度目が合って首を傾げられる。
その仕草に、何故か部屋が暑くなった気がして慌てて目を逸らした。
——
好きだから、一挙一動に惹かれているのだ。
それが分かるからこそ、俺は自分に対して思春期の男子高生かとツッコミたくなった。
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風と衣(プロフ) - もなかさん» もなか様ありがとうございます！面白いと言って貰えて今とてもニヤニヤしております(笑)今回のオリジナル展開でも中原さんの活躍が出てきますので、どうぞお待ちください！ (2022年9月18日 20時) (
レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
もなか - 作品拝啓させていただきました！とても面白かったです！私は中原さん推しなので夢主ちゃんとの絡みの話はニヤニヤしちゃいました（笑）更新楽しみにしています (2022年9月18日 17時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風と衣 | 作成日時：2022年9月7日 0時
