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数日後。
外が灰色になる程の雨が降り、窓がガタガタと音を立てている。
席に
「Aさんの戸籍謄本が届いてました」
と谷崎くんが封筒を差し出した。
自分の事を知るなら、まずは戸籍からと思ったのだ。
だが戸籍というものを見たことが無く、どう入手すれば良いのかも分からなかった為、谷崎くんに教えて貰った。
「有難う」
封筒を机の上に置き、隣に置いていた飲み物を一気に飲み干して緊張を押し流す。
そして封筒の封を開け、書類を取り出して目を通した。
「･･････は」
震える手から滑り落ちた書類が、パサりと乾いた音を立てる。
受け入れるには現実味が無く、衝撃の事実がそこにはあった。
頭の中は混乱していて、とてもこの事実について考えるだけの余裕など無い。
この事については後にしよう。
混乱している状態でものを考えるより、後で冷静になって考えた方が効率が良い。
纏めて封筒に入れ直し、気を紛らわそうと報告書の作成を進めるも、戸籍の事が頭を離れずに何処か気が
手の甲が傍に置いていた缶コーヒーに当たり、少し机に溢した時は顔面蒼白になってタオルで机を拭いた。
資料を反対側に置いていた事に救われたが。
そんなこんなでパソコンに向かい続けていると、不意に目の前が真っ暗になる。
どうやら目隠しをされたらしい。
目の前は見えないが、感触的に包帯で巻かれているだろう細めで綺麗な指と、慣れてきた爽やかさと甘さを兼ね備えた香り。
「太宰さんか」
「当たり。そんなに青い顔でパソコンに向かってたら、病気になるよ」
ぱっと手が離された瞬間、先程まで見ていた筈の光が眩しく感じて目を細める。
瞬きをして目を慣らしながら振り向くと、太宰さんが缶コーヒーを手に取って一口飲んだ。
缶コーヒーの種類が全く同じであるのを見て、ちらりと自分の机を見ると置いていた缶コーヒーが無い。
成程、太宰さんが飲んでいるのは私のだな。
「それ私のだが」
「おや、済まないね」
太宰さんがへらりと笑う様子を見て、恐らく分かっていてやったのだろうと予想する。
そもそも、私の机の上に置いていたのだから間違える筈が無いのだが。
太宰さんは次いでにもう一口飲むと、私の机の上に戻す。
私は缶コーヒーをじっと見つめて考えた後、缶コーヒーを太宰さんの手に押し付けた。
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風と衣(プロフ) - もなかさん» もなか様ありがとうございます！面白いと言って貰えて今とてもニヤニヤしております(笑)今回のオリジナル展開でも中原さんの活躍が出てきますので、どうぞお待ちください！ (2022年9月18日 20時) (
レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
もなか - 作品拝啓させていただきました！とても面白かったです！私は中原さん推しなので夢主ちゃんとの絡みの話はニヤニヤしちゃいました（笑）更新楽しみにしています (2022年9月18日 17時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風と衣 | 作成日時：2022年9月7日 0時
