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(からだ)の不思議な浮遊感に、中也さんの服を掴む。

「おわっ」

其の(まま)高度は増し、あっという間に横浜を見下ろせる高さになった。

「!」

人々が生活しているのだと象徴する光が、色とりどりに輝いている。
星空を見下ろしているかのような不思議な光景だ。

そしてその景色を阻む物も無く、少し冷えた風が興奮して火照る躰を適度に冷やしてくれる。
確かに最高の特等席だった。

「A!身を乗り出すんじゃねェ!」

無意識に前のめりになっていたようだ。
私は興奮の所為か晴れやかな心地で中也さんを見て、思わず笑顔で軽口を叩く。

「落ちても拾ってくれるだろう?」
「当たり前ェだろ!ちゃんと守ってやる」

頼もしい言葉はやはり中也さんらしくて格好良い。

「流石だな」

私は視線を眼下に広がる街へ戻し、見ている景色、感覚を目に焼き付ける。
中也さんとでなければ、(はる)か上空で街を見下ろしながら風を感じる感覚も、この遮る物のない景色も体験出来ないから。

「綺麗だな・・・・・・」

月並みの言葉だが、本当にそれしか出てこない。

「気に入ったンなら、また二人で見ようぜ」

中也さんは少年のように無邪気な笑顔を向ける。

「そうだな」

普段、危険な仕事を任されている以上、何時死ぬのか分からないし、中也さんも黒社会を牛耳るポートマフィアの幹部という立場。
平和や安心という言葉からかけ離れているからこそ、この関係が長く続く事を祈って私は頷いた。

───────

翌日、私は鳥の鳴く声を聞きながら布団の中でぼうっと考える。
窓もカーテンも開けず、まだ朝が始まった気はしないが、時間的には一応朝である。

「あの男の事ばかり調べていたが・・・・・・」

ぽつりと呟くと、一人の部屋にやけに大きく響く。

「そういえば私の事は調べて居なかったな」

もしかすると、私の情報からあの男の目的や固執する理由を割り出す事が出来るかも知れないというのに。

固執するだけのものが私にあるとは思えないが、調べてみる価値はありそうだ。
思えば、自分の事なのに改めて自分の情報を見た事は無かった。

視野が狭くなっていたのは、やはり中也さんが云ったように、私は疲れていたのだろうか。
だとすれば、昨日の気分転換に感謝しなければならない。

私は(ようや)く躰を起こすと窓を開け、ゆっくりと深呼吸する。
少し冷えた空気が肺に取り込まれて、気持ちがリセット出来た気がした。

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風と衣(プロフ) - もなかさん» もなか様ありがとうございます!面白いと言って貰えて今とてもニヤニヤしております(笑)今回のオリジナル展開でも中原さんの活躍が出てきますので、どうぞお待ちください! (2022年9月18日 20時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
もなか - 作品拝啓させていただきました!とても面白かったです!私は中原さん推しなので夢主ちゃんとの絡みの話はニヤニヤしちゃいました(笑)更新楽しみにしています (2022年9月18日 17時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年9月7日 0時

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