治療 ページ11
話によると彼女はAと言い、日々鍛錬を積んでいるようです。
「____残念ながら、あなたを治療することはできません。」
私は今、鬼舞辻を倒すべく炭治郎さんたちと協力している身であり、
その駒とも言える、彼女を強くするわけにはいかないのです。
「人専用なんだもんねフフ。それは無理なわけです」
なぜか申し訳なく感じてしまう。この鬼は今も尚、たくさん人を喰っているというのに…
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「あちこち調べ回っている途中に思い出したことがあるんです。____人の頃、父を流行病にかかって亡くしています」
Aさんから昔話をされた。
「父子家庭だったので、私が看病してたんです。けれど何もできなくて…
いつの間にか自我を忘れ、ただ強くなろうと。今度は何も失わぬように鍛錬していたんです____
それがいつの間にか鬼になり、下弦の参までになってしまいました。
私は…なんて事をしてしまったんだろうと思っています。」
Aさんからは後悔が感じられる。
「それは私もそうです。病で体が弱かったため鬼舞辻から話を得て、鬼となりました。____鬼として目が覚めた時には既に、大切な人は…血の海に浮かんでいましたから」
「あの方から直接だったのですね」
にしてもこの方、鬼舞辻の呪いや追尾はどうなっているのでしょう____
名前こそ言ってはいないものの、他の鬼より手薄な気がします。
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「話すと少し楽になりました。ありがとうございます」
このまま返してはいけない。
「Aさん、お願いがあります」
「?」
「血を採らせていただけませんか?」
このチャンスを逃すワケにはいかない。
先日炭治郎さんから採ってきてもらったのは元下弦の陸。
現在の十二鬼月の血を採れれば、かなり薬の開発に役立つ____
「あなたもいろいろあるんだね____
いいですよ、お礼です。ただ少しだけにしてください。暴れてしまうと思うので」
「すみません。ありがとうございます」
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こうして彼女の血もいただき、今日に至るわけです。
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作者名:翠雨 | 作成日時:2021年10月15日 1時