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陽が沈む。
あれから、オロチは未だに戻ってこない。
水巫は校舎内をあちこち隈なく探したが、それでも小さな相棒はどこにも見つからなかった。
「オロちゃんどこに行ったの…」
今までこんなに長く戻ってこないことはなかった。
水巫は不安な気持ちを抱きながら教室の机に突っ伏す。やがて、遠くの方からやってきた眠気が彼女に纏わりついた。
そして水巫はそのまま深い眠りに落ちた。
六月の教室は、なぜだか少し不快な寒さを感じさせた。
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一方、オロチは高校の側にある病院へ向かった少年の跡をつけていた。
辺りが闇で包まれ始めたくらいに着くと、その少年は受付の近くで誰かのことを待っていた。
しばらくすると、水巫が追いかけていた虎杖が現れた。
彼は受付のデスクで手続きをしていた。
その顔の暗さから、オロチは彼にとって親しい人間が亡くなったのだろうとすぐに察した。
「うん、必要な書類はこれで全部」
「ウッス。お世話になりました」
「本当に大丈夫?」
女性の看護師が心配そうな顔をする。虎杖は無理をしたような笑顔で大丈夫だと答えた。
「(あいつも身内が一人しかいなかったのか)」
看護師と虎杖のやり取りが済むと、ずっと影で待っていた少年が彼の前へ出る。そして何やら虎杖に説明をし始めた。
結局、少年は呪術界とは全く無縁な虎杖を追ってきただけであった。オロチは自分の存在に気付いた彼をどうにかしようとしたが、先ほど聞こえてきた“呪術高専”の単語を聞いて手を引くことにした。
あの場所は水巫には適さない。それに行けばオロチと水巫は離されてしまうだろう。
自分と彼女の安寧が侵されないのであれば危害を加える必要はない。そう思った時だった。
虎杖が、異様な力を纏う小さな木箱を少年に投げて寄越す。彼がそれを確認すると、中身は空だったらしい。
嫌な予感がして、少年が口を開くよりも先にオロチは後先考えずに言葉を発した。
「おい小僧!その中身は!?」
「蛇が喋ってる!?!」と、虎杖が大声を出す。
「お前、こいつが見えるのか…?」
少年がオロチの存在を視認した虎杖に驚きの表情を見せるが、オロチは苛立った様子で素早く少年の肩に登りもう一度同じことを聞いた。
「それは今どこにあるかと聞いているんだ」
「先輩が………」
「なんだ?」
「そういや今日の夜、学校でアレのお札剥がすって言ってたな」
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佐藤れい(プロフ) - 林檎さん» 感想ありがとうございます…! とても嬉しいです、まだ明かされていないことも多くてむず痒い点もあると思いますが、それも込みで今後も楽しんでいただけると嬉しいです! これからもよろしくお願いします! (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4f8cc240de (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - こんな夢主ちゃん待ってました。すごく面白いです。シリアスが儚い雰囲気の夢主ちゃんにぴったりで素敵です。更新頑張って下さい、応援してます。 (2020年11月28日 0時) (レス) id: 67c87e380d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐藤れい | 作成日時:2020年11月22日 18時