ゲームオタクがまたトリップしたら普通になってた １

おはよう ページ37

目が覚めると午後の３時らしく、タツマイリ村ではおやつの時間だった。

「おはようございます、よく眠れましたか？」

リュカはそう言って微笑むけれど、目元が普段よりも赤い。

それに……少し腫れてる？

「ん、寝れた」

もしかして泣いてたのかな、でもどうして？ 何かあったの？

……けど、そう簡単に口を挟むのはよくない。そんなの、ただのお節介だから。

まぁ実はかなりのお節介な人間が何を言っているんだって話だけど。

「ごめん、時間……かなり潰しちゃった」

「いえ、大丈夫ですよ」

リュカは気にしていないようなふうに言って、私はむくりと体を起こす。

「ちょっとヨダレ出てて、えっと………か、可愛かったので！！」

照れた様子でそう言うけど、私は思わず口の周りをゴシゴシと拭く。

「………本当に出てるし」

女の子らしさゼロの私は男の子の前で、ヨダレ垂らして寝てる事について恥ずかしがることは無いけど……。

汚してないかが気になる。

「ヨダレ付いてないよね？」

「大丈夫ですよ、僕が拭いてましたから！」

◇ＳＭＡＡＡＡＡＳＨ！！
　Aに３６７のちめいてきなこころへのダメージ！

ヨダレ垂らすのは別に大丈夫だけど、拭かれるのは流石に恥ずかしいんですけど？！ この歳になって、男の子にヨダレ拭かれるとか！！

「さいですか……」

「よくクラウスもヨダレ垂らして寝てるので慣れてるんです、気にしなくても大丈夫ですよ！」

……あれ、私とリュカのどっちが年上で、クラウスとリュカのどっちが兄なんだっけ。

◇Aはこんわくしている！


そんな事を考えていると、リュカは真剣な表情になって、話しかけてくる。

「……前に約束しましたよね、いつかAさん自身の事を教えるって」

「そういえば……まだ、結局言えてなかったね」

いつか私の事や、私の居た世界の事を教えるっていう約束。原作が終わるまで、言わないでおこうと思ったけれど……。

というか、しきかんどのには説明しなくても知られちゃってたから、説明する事を忘れてたけど。

「全部、教えてください」

「……たぶん、この日の時間は全部それだけで削れると思うよ？ デート中だけど、いいの？」

「構いません、２人で居られる時間はこれから先誰かのせいで減るでしょうし……」

「そっか」


私はゆっくりとリュカにお互いの世界の事と、ミツキとナツルの事を話していた。実は元々２人は親友だったこと、とてもミツキは強い精神を持った優しい子だった事も。

番外編　１５周年→←最後の番

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す