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「ほら、言って」
「いや、そのちょっと……」
「何か後ろめたいことでもあるの？」
「別にそういうわけは、」
「じゃあ、なあに？ 僕に教えてよ」
端正な顔が、こちらへ近づいてくる。ああ、もうダメかもしれない。本当に。全部言ってしまいたくなる気持ちが滲み出てきてしまう。でも、言ったら全部がおしまい。全部が、おしまい。今まで築きあげてきたものが全部、積み木みたいに崩れていくから、ダメ。言わないで、私。もうここまでくれば自分に対する言い聞かせに近しいものだった。そうでもしないとどうにかなりそうで、しょうがなかった。拒絶してしまうのは心が痛いけど、しないといけない、しなきゃ。
「本当に、本当にだめ」
「冬樹君でもこれだけは、言えない」
「……そっかあ」
じゃあお預けだね、なんて言って彼はいつも通りの距離感に戻ってくれた。今まで息が詰まっていたような気がして、ずっと肺にたまっていた二酸化炭素をやっと吐き出せたのと同時にチャイムが鳴った。よかった、これで、よかったんだ。
「あ、もう帰らなきゃ……」
「そうだね、じゃあ……」
――また、明日。そう言った彼の表情が、やけに怖く見えた。例えるなら……獲物に目を付けたような、そういう。つまり、それは、明日もきっとこの言い淀むことしかできない感情を晒せという話で、あぁ、ああ。本当に、やってしまったなと思った。ある種の諦観がないといえば嘘にはなるけど、やっぱり、私はあなたに殺してほしいだなんて言えないよ。
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四月の初めにあなたと出会っていた時からずっと命も想いもあなたのためにあるの。でも、あなたにそれを言ってしまえるほどの勇気は私には存在しなかった。
ありがとうfyk、俺は君に殺されたい。
そういうネタです。
続く
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翠霞(プロフ) - のんさん» ありがとうございます……！リクエストのほうも承りました。消化するのに時間がかかってしまいますが、気長にお待ちいただけると幸いです……！ (2022年4月1日 8時) (
レス) id: 88ea8129dd (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - こんにちは、msrざんを推させて頂いているものです、、！作者様の文章の書き方がすごく大好きです！リクエストなのですが、宜しければメンヘラなmsrさんがヘラってしまう的なお話が見てみたいです・・・！これからも更新頑張って下さい！長文失礼しました。 (2022年3月31日 20時) (レス) @page1 id: 4ff02946c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞 | 作者ホームページ：https://twitter.com/Sui_Ka_zr
作成日時：2021年8月27日 22時
