Oblivion kgm ◇(△) ページ26
※モブの自i殺描写がふんわりとのっています
秋風と海水が体を冷やしていく。
水と溶けあってしまうように着実に体温が消えていく。
でも、それでいいのだと私は思えた。
あの時に見たオレンジ色よりもずっと綺麗なこの色を見ていたい、
そういう一種の強迫観念とも言い難い何かが心の片隅にあるのかもしれない。
もしかしたらこの色なら、あの時を塗り替えられるのかもしれないという淡い期待なのかもしれない。
でもそのトラウマを消すことが出来ないのは、本当は分かっているはずなのに。
「……ここにいたんですか」
少々乱暴に、暗い色をした上着が投げられた。
着てほしいという意思表示なのだろうと素直に従ったけれど、体を冷やしたくないならもっと別の方法があるのだろうにと思う。
「どうしたの、ここになんか来て」
「それはこちらの台詞ですよ、こんな朝方に海に行くだなんて」
「別に、いいでしょ」
彼に置手紙の一つも残さないまま家を出たことに少し後悔はしていたし、
彼に責めるという意味合いも含まれていないのだろうと思ったけれど、
それでも怒られているような気がして突っぱねた。
しかしその言動で彼は私が怒ったのだと勘違いしたのか、こちらへ近づく水音がした。
あなたまでこちらに来てほしくないのに、
そう思っても口に出さないと伝わらないから、緩やかに手を引かれた。
「ほら、帰りましょう」
「……いやだ」
「どうしてですか」
「まだ、消えてないよ」
「……何が」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠霞(プロフ) - のんさん» ありがとうございます……！リクエストのほうも承りました。消化するのに時間がかかってしまいますが、気長にお待ちいただけると幸いです……！ (2022年4月1日 8時) (
レス) id: 88ea8129dd (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - こんにちは、msrざんを推させて頂いているものです、、！作者様の文章の書き方がすごく大好きです！リクエストなのですが、宜しければメンヘラなmsrさんがヘラってしまう的なお話が見てみたいです・・・！これからも更新頑張って下さい！長文失礼しました。 (2022年3月31日 20時) (レス) @page1 id: 4ff02946c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠霞 | 作者ホームページ：https://twitter.com/Sui_Ka_zr
作成日時：2021年8月27日 22時
