私はそれを恋といふ。 kgm ◇(△) ページ17
※企画作品後日談(別side)
はっきりと言ってしまえば、それはただの一目惚れだった。
優しくて、かっこよくて、頼りになる加賀美くんに恋をしてしまうのは必然的なもので、
この想いを叶えてやろうとは思っていなかった。
加賀美くんが関係性に名前を付けるまでは。
男女の友人という関係性は幼い頃の特権だと今でも思っている、
でも加賀美くんはそれを知らなかった。
空中分解することなく続いたその関係性は私の純真たる恋心を壊し、私の信仰心でさえも侵してしまったらしい。
加賀美くんが幸せでいればいい、
加賀美くんの隣に居られるだけでよい、
加賀美くんの中に私を残してしまいたい。
段々と欲が出て歪んでいくその恋心に恐怖を感じながら、私は手放せずにいた。
加賀美くんへの不思議な思いが、私を突き動かしていたから。
そしてあの日、私は加賀美くんの手を引いて秘密の場所へ連れて行った。
この穴はまだ大人にバレていないし門から大分離れたところだから捜索にも時間がかかるだろう。
だから大丈夫。
そう信じてやまなかった。
加賀美くんはやっぱり大人を呼びに行こうとしてたけど、そんなことなんてさせない。
「今から私がやること、よく見ててよ」
そう言ってしまえば、加賀美くんはここから動かなくなった。
穴を抜けて、翼を広げる。
自分からでは翼の様子なんて見えないけれど、
加賀美くんの息を吞む様子を見ていると恐らく大分変化したのだろうか。
「またいつか、迎えに行くよ」
必死にこちらへ手を伸ばそうとする加賀美くんを見ないふりをして後ろの森を駆け抜ける。
最後に見た加賀美くんの顔は、凄く素敵だった。
加賀美くんの為に全てを裏切ったことに不思議と後悔はなかった。
清々しさ、というのだろうか、むしろ私には心地よいまであった。
魔界というのは本で読んだ人間界みたいなものらしく、学校生活も慣れなかったが楽しかった。
そもそも私のような堕天使は意外と居て、
駆け落ちした者や逃亡した者、翼が欠けたことで迫害されたものなど事情も様々であった。
私は好きな人に私という存在をいつまでも焼き付ける為、などは言えず、
好きな人が幸せになる為にとか適当な理由で対処しておくことにした。
ただ、決してとても良かったとかではなくて、
加賀美くんが隣に居ないこと、加賀美くんの隣が私じゃないこと、
選択が違えば、結果も違う。
ふとした時にそういうのを実感させられるのは嫌だった。
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翠霞(プロフ) - のんさん» ありがとうございます……！リクエストのほうも承りました。消化するのに時間がかかってしまいますが、気長にお待ちいただけると幸いです……！ (2022年4月1日 8時) (
レス) id: 88ea8129dd (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - こんにちは、msrざんを推させて頂いているものです、、！作者様の文章の書き方がすごく大好きです！リクエストなのですが、宜しければメンヘラなmsrさんがヘラってしまう的なお話が見てみたいです・・・！これからも更新頑張って下さい！長文失礼しました。 (2022年3月31日 20時) (レス) @page1 id: 4ff02946c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞 | 作者ホームページ：https://twitter.com/Sui_Ka_zr
作成日時：2021年8月27日 22時
